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2017年2月28日

【書評&時事コラム】『シルバー・デモクラシー』

団塊の世代、まだ「終わっていない」

c170228.jpg著者・寺島 実郎
岩波新書、定価760円+税

 

 著者は日本を代表するオピニオンリーダーの1人であり、1947年生まれの団塊の世代。学生時代の大学紛争の体験が、「この国の形」に対する強烈なこだわりにつながっており、自らも後輩世代からも「終わった人」とみなされがちな団塊の世代に「戦後世代の覚悟と責任」を問い続けている。

 全6章で構成しているが、第2、第3章は1980年代と2000年代に書いた論考の採録。第4章で16年参院選のシルバー・デモクラシーの現実を強く感じ、第5章ではトランプ大統領誕生の背景を論じ、第6章では自ら参画している首都圏の農業を紹介している。

 超高齢社会の本質は、高度成長期に首都圏に集まった「都市新中間層」の高齢化であり、この分厚い層が選挙などで「シルバー・デモクラシー」の威力を発揮し、このままでは後続世代に負の遺産を残して終わる可能性に警鐘を鳴らす。

 文章は硬く、決して読みやすくないが、「戦後の繁栄」をフルに享受した団塊の世代に、「このまま消えていくのか。それでいいのか」と強く問い掛ける内容であり、ある意味で大学紛争当時の迫力さえ感じさせる。 (俊)

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