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2017年3月 9日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」10・教育訓練給付の要件

Q 国が指定する講座や教育訓練を受講した場合、労働者が在職中であっても雇用保険から給付が受けられる教育訓練給付の制度があると聞きました。弊社でも労働者の自主的な資格取得やキャリアアップなどへの取り組みは奨励していきたいと考えています。
 ところで、こういった給付を受けるためには一定期間以上、雇用保険に加入していることが必要だということですが、その期間は3年以上とも10年以上とも聞きました。実際にはどのような仕組みになっているのでしょうか。

koiwa1.png 教育訓練給付とは、労働者等が厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講して終了した場合に、本人が教育訓練施設に支払った経費の一部が支給される制度のことです。雇用保険制度によって運営されており、在職中の労働者はもちろん、一定の要件を満たす離職者も受けることができます。
 1998年に創設された制度ですが、2014年に大幅な制度改正が行われ、従来の制度を引き継ぐ「一般教育訓練の教育訓練給付金」と、新たに追加された「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」の2本立てとなりました。

 「一般教育訓練給付」は、受講開始日現在、在職者の場合は雇用保険の被保険者期間が原則3年以上(初めて支給を受ける場合は当分の間、1年以上)、離職している場合は雇用保険の資格を喪失してから受講開始日までが原則1年以内である場合に、一定の要件を満たすことで受けることができます。

 支給額は教育訓練経費の20%に相当する額(上限10万円)であり、その額が4000円を超えない場合は支給されません。2017年1月1日以降は、一定の要件を満たすキャリアコンサルティングの費用(上限2万円)も支給されます。
 「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」は、特に中長期にわたるキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練が対象となり、具体的には看護師、保育士等の資格取得のための訓練、商業実務、医療関係等の職業実践専門課程などが該当します。

 こちらは雇用保険の被保険者期間が原則10年以上(初めて支給を受ける場合は当分の間、2年以上)が要件となり、支給額は教育訓練経費の40%に相当する額(上限32万円)となります。訓練期間は最大で3年間であるため、最大96万円が支給されることになります。

 教育訓練給付はあくまで本人の自由な意思と選択によって受けるものであり、会社が実施する教育訓練として活用するものではありません。ただ、自主的なキャリアアップの方向性としている国家資格の取得などを推進する場合には、効果的な活用が期待できることが多いようです。

 会社を退職したときに受ける給付のみが雇用保険といった誤った認識もありますので、ぜひ労働者の希望や自社の現状に照らして有効に活用していきたいものです。

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