コラム記事一覧へ

2017年3月16日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」11・募集時の固定残業代の表記

Q 弊社では恒常的に時間外労働が発生している労働者も多いため、営業職を中心に固定残業代を導入しました。今年からは、各人の時間外労働の実態に応じて、1日あたり1~2時間の手当を定額で支給しています。
 ところで、今回新たに新規求人を募集するのにあたって、ハローワークや求人会社から、求人票や募集要項について固定残業代の内容を明示するように求められました。具体的には、どのように記載したらよいのでしょうか。

koiwa1.png 「固定残業代」とは、一定時間分の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のことをいいます。名称にはかかわらず実態で判断されるため、「定額残業代」「業務手当」「営業手当」などでも同じです。

 求人募集段階の募集要項や求人票で示された賃金表示と、採用されて入社してからの実際の賃金が異なることによるトラブルも多く、職業紹介事業においても問題となるケースが増えています。

 そこで2015年10月1日に改正若者雇用促進法が施行され、指針において、固定残業代を採用する場合には、募集要項や求人票などにその具体的な内容を明示することが求められています。
 また、求人情報適正化推進協議会によるガイドラインにおいても、「固定残業手当を含む場合は、手当の金額、固定残業手当で支払い対象となる残業時間数、超過分支給の旨を明示すること。その他の手当を含む場合は明示に努めること」とされています。

 ハローワークの求人票はもとより、民間の求人広告等においても、こうした行政の方針や業界団体のルールに基づいて運用されているため、適正な記載がない場合には募集を公開することはできません。

 具体的には、以下の①~③のすべての内容を明示することになります。

①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨


 実務的には、雇用契約書(労働条件通知書)や就業規則(賃金規程)において、①「基本給××円(○○手当を除く額)」、②「○○手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として××円を支給する)」という位置づけを規定し、③「○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給する」という取扱いを記載することになります。

 また、営業手当を固定残業代として取り扱う場合等で、残業代以外の手当(例えば営業成績・実績に対する手当など)を含む場合には、固定残業代分を分けて記載する必要があります。
 以上のような取扱いは、深夜労働や休日労働について固定残業代制を採用する場合もまったく同じです。休日労働については割増単価が異なるため、記載するときに混乱しないよう注意したいものです。

PAGETOP