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2017年3月30日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」13・「36協定」の特別条項

Q 働き方改革の一環として、時間外労働(残業)の上限の見直しが議論されています。弊社は営業職の社員を中心に時間外労働が多いことから、なかなか月45時間には収まっていないのが現状です。そこで「36協定」に特別条項を付けて対応していますが、一部の社員からこの制度の内容があまりよく分からないという声がありました。現在の特別条項の仕組みというのは、どのようなものなのでしょうか?

koiwa1.png 労働基準法では、36協定によって定める労働時間の延長を適正なものとするための基準について、厚生労働大臣が定めることができるとされ、「36協定の内容はこの基準に適合したものとなるようにしなければならない」と明記してあります。これが時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)であり、1カ月45時間、1年360時間といった限度時間が定められています。

 ただし、大臣基準による限度時間は法的な拘束力があるものではなく、特別の事情がある場合には、特別条項付き協定を締結・届出を行うことによって、限度時間を超えて時間外労働をさせることができます。この特別条項には現在のところ上限がないことから、俗に「青天井」といわれています。

 特別条項の締結にあたっては、限度時間に収まる原則としての延長時間を定めた上で、限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情をできるだけ詳しく定めなければなりません。「特別の事情」とは、具体的には以下のものを指します。

①一時的または突発的に時間外労働が行われる必要があること
②全体として1年の半分を超えないことが見込まれること

 一時的または突発的とは、臨時的なものである事情について具体的な理由を挙げる必要があります。例えば、「臨時の受注への対応」「年度末の決算業務」などは臨時的と認められますが、「業務上やむを得ないとき」「業務の都合上必要なとき」などは認められません。

 また、特別条項付き協定で定めた延長時間は1年の半分を超えてはいけませんので、最大でも年6回までしか発動することができません。この場合でも対象とならない6回については、1カ月45時間、1年360時間という大臣基準を守らなければなりません。

 当然のことですが、いかに特別の事情があるとはいっても、年間を通じて特別条項による延長時間まで働かせることはできず、年6回を超えた段階で労働基準法違反となります。「青天井」という言葉に惑わされないように十分に注意したいものです。

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