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2017年4月13日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」15・派遣労働者のための就業規則改正②

Q 派遣労働者のための就業規則を改正したいと考えています。許可更新に最低限必要な項目については対応できたのですが、せっかくの機会なのでそれ以外に変更・追加した方がよい項目があれば見直したいと思います。派遣事業の内容や事業規模にもよるかと思いますが、一般的にはどのような点が考えられるでしょうか。

 法改正への対応を踏まえて、派遣労働者就業規則を改正したいという派遣元事業主が増えています。この場合、許可(更新)申請時に添付する内容はもちろんですが、それ以外の点にも目配せすることが大切です。具体的な改正の方向性としては、以下の3点が考えられると思います。

①許可申請・更新申請への対応(教育訓練中の賃金、派遣契約の終了、解雇に関する規定)
②派遣法改正への対応(教育訓練の実施、派遣期間、雇用安定措置、キャリアコンサルティング)
③改正後の派遣モデルへの対応(無期雇用派遣労働者、紹介予定派遣)


 ①は前回お話しした内容です。②は派遣法改正にともなって変更や追加をすることが望ましい点であり、例えば教育訓練について派遣労働者に受講を義務付けるような内容が考えられます。改正派遣法Q&Aの第3集では、教育訓練について「派遣労働者の受講の義務まで課しているものではない」としていますが、就業規則における位置づけを明確にすることが望ましいでしょう。

koiwa1.png キャリアコンサルティングについても同様のことがいえ、法律上のキャリアコンサルティングの窓口の設置義務を具体的に実行していくための手続きや流れ、派遣労働者のキャリアコンサルティングへの向き合い方について、就業規則上に規定を置くことが考えられるでしょう。

 ③は派遣法改正にともなって派遣事業のビジネスモデルが変化していくことへの対応です。派遣期間の制限や雇用安定措置に労働契約法の無期転換ルールもあいまって、今後はさらに無期雇用派遣労働者が増加することが予想されますが、従来の派遣労働者就業規則は有期雇用の派遣労働者を前提として作成されているケースがほとんどです。

 無期雇用派遣労働者には、定年や配置転換といった有期雇用派遣労働者にはない雇用管理上の特徴があります。また、正社員と無期雇用派遣労働者とは雇用安定措置の要件にも見られるようにまったく別個の位置づけにあります。

 そこで、正社員就業規則、無期雇用派遣労働者就業規則、有期雇用派遣労働者就業規則の3つの就業規則にそれぞれの役割を与えていくことが一般的には効率的だと考えられるでしょう。

 無期雇用派遣労働者がいるのに適用される就業規則がないと、解雇や懲戒といった局面だけでなく、今後の同一労働同一賃金の流れの中で労務管理に重大な影響が出ることもあるかもしれません。

 就業規則の見直しの機会には、このような視点も幅広く意識しつつ、派遣労働者の就業への現実的な対応を通じて事業の健全な発展に資する方向性を具体化していきたいものです。 

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