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2017年4月20日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」16・中小企業の短時間労働者の社会保険適用拡大

Q 自動車部品加工の町工場を営んでいます。正社員は15人ほどですが、パートタイマーが30人ほどいます。昨年から大企業ではパートタイマーも社会保険に加入することになっているそうですが、今年から中小企業も対象となったと聞きました。
 パートタイマーが社会保険の対象となるのは時代の流れだと思いますが、弊社のような中小企業についてはしばらく猶予がされているものだと思っていました。実際のところ、パートタイマーから希望があった場合には、社会保険に入ることになるのでしょうか。

 社会保険については従来、週所定労働時間が正社員のおおむね4分の3以上の者が被保険者とされていましたが、2016年10月に法改正があり、週20時間以上の短時間労働者についても対象とされることになりました。その要件は、以下の通りです。

①週の所定労働時間が20時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上あること
④学生でないこと
⑤被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること

 ⑤にあるように、これは常時501人以上の規模の企業のみが対象でしたが、2017年4月にさらに法改正があり、常時500人以下の企業についても、以下のいずれかに該当する場合には、短時間労働者の社会保険加入の申出ができることになりました。

(1)労働者の過半数で組織する労働組合の同意
(2)労働者の過半数を代表する者の同意
(3)労働者の2分の1以上の同意


koiwa1.png (1)の過半数労働組合の同意が原則となりますが、それがない場合には(2)(3)の要件によることになります。(2)(3)は若干分かり難いですが、(2)は36協定の過半数代表者の選出手続きと同様であり、(3)は労働者の個別の同意のことをいいます。

 労働者の個別の同意にあたっては、厚生年金の被保険者、70歳以上の労働者(70歳未満であれば厚生年金の被保険者要件を満たす者)、被保険者要件を満たす短時間労働者が対象となります。必ずしもすべての労働者が同意の対象ではありません。

 なお、短時間労働者の社会保険への加入は企業単位で行うことになりますが、労働者と事業主の双方が同意書を添えて申出を行うこととされています。該当者が希望するからといってただちに加入することになるわけではありませんが、労使合意に基づく円満な手続きがとられるように心掛けたいものです。

 派遣労働者の社会保険への加入については、当然のことながら派遣元の企業において同意の手続きをとることになります。該当する派遣労働者から申出や照会があった場合には、適切に対応したいものです。

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