コラム記事一覧へ

2017年5月 4日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」18・個人事業主などとの業務委託契約

Q システム開発などの業務を行っていますが、システムエンジニアなどの一部の高度な技術者については、まれに個人事業主やいわゆる一人会社の(代表)取締役などと委託契約を締結するようなケースもあります。
 このような場合、契約形態や業務処理の実態によっては、労働局などからの行政指導の対象となることもあると聞きますが、業務の依頼を行うにあたって、どのような点に注意すべきでしょうか。

koiwa1.png 請負・委任(委託)と派遣についてはしばしば問題となることから、告示第37号(最終改正平成24年厚生労働省告示第518号)の規制があり、2009年と2013年に疑義応答集が発出されています。さらに、IT業界のガイドラインとして、「情報サービス産業における適正な業務委託契約運用のためのガイドライン」(一般社団法人情報サービス産業協会。以下、ガイドラインという)が出されています。

 これらによると、一人で業務処理を行う作業者が、発注者からの業務の依頼を受ける責任者を兼任することは、原則として認められません。したがって、基本的には作業を行う作業者とは別に、作業者に対して指示を行う管理者の存在が必要ということになります。

 ただ、ガイドラインでは、「個人事業主や小規模会社の取締役が自ら作業を行う場合はこれに該当しない」とされており、自らが経営者でもある一人会社の社長などの場合は例外とされています。この点については、実務的には肩書だけでなく実態で判断するのが適切でしょう。

 個人事業主などが委託契約に基づいて業務処理する場合には、発注者からの業務の依頼が、事実上の指揮命令でないことが大切です。たとえ口頭であったとしても、発注者が作業者(この場合は個人事業主)の残業や休日出勤といった勤怠管理に直接関与している場合は、事実上の指揮命令ということになり、偽装請負(委託)という指摘を免れないことになります。

  発注者が業務を依頼する際には、「文書による事前依頼を原則とし、事後であっても記録を残す運用が重要」(ガイドライン)とされています。委託業務については着手前に発注書面を交付し、確定後ただちに仕様書などを交付しなければなりませんので、こういった文書による運用がおろそかになることのないよう、あらためてチェックを徹底していきたいものです。

PAGETOP