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2017年5月11日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」19・労働時間適正把握ガイドラインとは?

Q 当社では営業部などの残業が多い労働者については残業申請を出してもらい、自己申告によって労働時間を管理していますが、最近になって業務管理システムを導入し、パソコンのログイン情報を記録するようになりました。
 ところが、従来の方法によって管理している労働時間と、ログイン記録による労働時間とが一致しないケースが出てきました。このような場合、いずれが正しい労働時間だと判断されるのでしょうか。
 労働時間の把握について、是正すべきことがあれば適切に対応していきたいと考えています。

koiwa1.png 労働時間は労働基準法の規定によりますが、条文自体は一般原則を定めたものですので、労働時間の把握や管理の具体的な対応については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(平成13年4月6日基発339号)が基準とされてきました。俗に「46通達」といわれます。

 そして、近年の深刻な過重労働の多発やIT技術の進化を受けて、今年1月20日に新たに策定されたのが、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」です。これによって、従来の「46通達」は廃止されました。

 ガイドラインの内容は、基本的には「46通達」の考え方を踏襲していますが、「労働時間の考え方」の項目が追加され、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置などの項目が従来以上に具体化されています。

 それによると、「入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること」とされています。

 したがって、パソコンのログイン記録などの具体的なデータと労働者からの自己申告によって把握した労働時間との間に大きなずれがある場合には、実態調査を行った上で、労働時間の「補正」を行わなければなりません。

 実務的には、数分程度のずれであればやむを得ないにしても、30分とか1時間のずれがあった場合には、残業代の未払いが発生しているとみなされてもおかしくないでしょう。現実的な労働時間の補正を行う仕組みを実施するとともに、必要に応じて自己申告制の運用のあり方についても見直しを行っていきたいものです。

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