コラム記事一覧へ

2017年6月29日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」26・厚生労働省による労働法違反企業名の公表

Q 今年の5月から、厚生労働省が労働法違反の企業名をホームページで公表するようになったと聞きました。
 実際の公表はどのように行われているのでしょうか。また、企業名を公表するにあたっての基準などは設けられているのでしょうか。

koiwa1.png 2017年5月10日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」と題して、厚生労働省が労働法違反の企業名334件を一斉に公表し、メディアなどでも話題になりました。

 労働基準監督署は労働基準法や労働安全衛生法などの労働法違反を確認した場合には是正勧告書を交付しますが、これはあくまで行政指導であるため強制力があるものではなく、原則として企業名も公表されません。

 厚生労働省は2015年5月18日、「違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について」を発表し、「長時間労働に係る労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促すため、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が経営トップに対して、全社的な早期是正について指導するとともに、その事実を公表する」という方針を明らかにしました。

 さらに、2017年1月20日には「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」が発表され、企業名公表についての基準が明らかにされました。

 それによると、複数の事業場を有する社会的に影響力の大きい企業であって、1事業所で10人以上または4分の1以上の労働者や、過労死等に係る労災保険給付の支給決定事案の被災労働者について、1か月あたり80時間を超える時間外・休日労働が認められたり、労働時間関係違反で是正勧告を受けていたりする場合などが対象となるとされています。

 2017年3月30日には「労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について」が公表されました。上記の事案と法令違反で送検され公表された事案が、厚生労働省や都道府県労働局のホームページでの公開の対象とされ、以下の内容を掲載するとされています。 

①企業・事業場名称
②所在地
③公表日
④違反法条項
⑤事案概要
⑥その他参考事項


 企業名の公表は、社会的に影響力の大きい企業で長時間労働や過労死等の事案が発生した場合には、是正勧告(行政指導)の段階でも行われ、いわゆる送検事案では中小企業や個人事業も対象となっています。

 企業名公表によって企業が被る社会的な影響は相当に大きく、取引上の信用問題はいうまでもなく、銀行との取引や従業員への影響なども想定されます。当然のことですが、万が一にも企業名公表の対象となることがないよう、コンプライアンスの徹底を図っていきたいものです。 

PAGETOP