コラム記事一覧へ

2017年7月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」27・年金事務所の調査とは?

Q このたび年金事務所から当社に通知が届き、社会保険に関する調査が実施されることになりました。社会保険の実務を担当するようになって初めてのことなので、少し不安に思っています。
 そもそも年金事務所の調査とは、どのようなものなのでしょうか。また、調査を受けるにあたって、どのような点に留意しなければならないでしょうか。

koiwa.png 社会保険(健康保険、厚生年金保険)については、管轄の年金事務所が事業所に対して調査を行います。これらの調査では、被保険者の資格、標準報酬などを中心に実態の確認が行われますが、定期的な事業所調査、年金事務所と会計検査院による合同調査、未加入企業への加入勧奨を目的として行われる調査などの種類があります。

 このところ年金財政の逼迫や社会的要請により行政指導が強化されつつあり、2016年10月1日からの社会保険の適用範囲の拡大や、マイナンバー制度の社会保険への適用なども相まって、厳しい調査が行われています。

 また、人材派遣業、建設業、自動車運送業などでは、年金事務所による調査と許認可権者による調査が連携して実施される場合や、年金事務所による処分と許認可処分とが連動するケースもあるため、留意しなければなりません。

 調査は、おおむね2週間ほど前に調査実施についての書面が事業所に届いて、期日が指定されるのが一般的です。緊急性が高い場合には例外もありますが、ある日突然に調査が実施されるということは通常は考えにくいでしょう。

 当日準備すべき書類は、調査の形態や内容によっても異なりますが、一般的には以下のものが挙げられます。できるかぎり早い段階で準備しておき、直前になって慌てることのないようにしたいものです。

・労働者名簿、雇用契約書
・賃金台帳(過去2年分)
・出勤簿またはタイムカード(過去2年分)
・源泉徴収簿(過去2年分)
・源泉所得税の納付書
・社会保険料決定通知書控
・就業規則、給与規程
・事業所のゴム印および代表印


 調査ではこれらの資料をもとに、入社時(試用期間を含む)から加入しているか、パートやアルバイトが加入しているか、資格取得時の報酬は正しいか、算定基礎届が正しく行われているか、月額変更が正しく行われているか、交通費や手当も報酬に含めているか、賞与支払届を正しく提出しているか、保険料を正しく徴収し納付しているか、といった点が詳しくチェックされます。

 近年の事業所調査の指導状況では、調査の結果について「指導あり」が約3割、「指導なし」が約7割となっており、具体的な指摘事項としては「賞与支払届出もれ」「資格取得届出もれ」「月額変更届出もれ」などが多いとされています。いずれもきわめて基本的な実務だといえるでしょう。

 事業主からの届出等が適正でなく、未加入が認められた場合には資格取得届の提出が指導され、遡及して適用されることになります。時効2年分の社会保険料額は多額なものとなることも多く、本人負担分を会社が負担すると問題となるケースもありますので、万が一にもこのようなことのないよう、日頃からのチェックを徹底したいものです。

PAGETOP