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2017年7月13日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」28・社会保険の報酬月額の算定の特例

Q 社会保険の算定基礎届を提出するのにあたって、通常の方法で4月から6月の平均で標準報酬月額を算定するのではなく、一年間の平均によって算定することもできると聞きました。
 弊社は、人事異動や決算の影響によって4月から6月が繁忙期となっているため、他の月と比較すると著しく残業代なども増加している現状にあります。 具体的に年間平均の方法をとるためには、どのような要件が必要となり、どういった手続きが求められるのでしょうか。

koiwa.png 社会保険の算定基礎届(定時決定)では、4月から6月までの報酬額の平均を算定することで、9月から一年間の標準報酬月額を決定する仕組みとなっています。

 しかしこの制度では、4月から6月の報酬額が他の時期と比較して著しく高かったり、低かったりする場合には、年間の報酬の水準からみて不合理な報酬月額となるケースもありました。

 そこで、2011年からは算定基礎届の提出にあたって一定の要件に該当する場合には、年間報酬の平均で算定する特例の申出を行うことが認められています。

 具体的には、以下のような要件を満たす必要があります。

・「通常の方法で算出した標準報酬月額」と「年間平均で算出した標準報酬月額」との間に2等級以上の差が生じた場合
・2等級以上の差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合
・被保険者の同意


 「業務の性質上例年発生することが見込まれる」とは、業種や職種の特性によって、毎年4月から6月が繁忙期にあたるために、他の月と比較して季節的に、報酬が高くなったり、低くなったりすることをいいます。この時期に大きな報酬変動があったとしても、単年度のみや業務の一時的な繁忙による場合は除きます。

 具体的には、算定基礎届の備考欄に「年間平均」と付記した上で、「年間報酬の平均で算定することの申立書」(様式1)、「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」(様式2)を協会けんぽ(健保組合)に提出します。

 この手続きにあたっては、算定基礎届とは別に、様式1によって年間平均で算定することの具体的な理由を申し立てるとともに、様式2によって前年7月から当年6月の報酬額の平均を算出して、4月から6月の平均額と2等級以上の差があることを確認し、さらに被保険者の同意を得る必要があります。

 申し立てにあたっては、手続きが相当に煩雑な上に、それぞれの被保険者の具体的な同意を得る必要がありますが、業種や職種によっては合理的に運用できるケースもありますので、ぜひ実態に応じて活用したいものです。 

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