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2017年8月24日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」34・高額療養費制度の改正とは?

Q 健康保険の高額療養費制度が引き上げられたと聞きました。ニュース等でも、8月から負担増になったと報道されており、実際に制度を使っている従業員から質問があったりします。今回の改正内容について、簡単に教えてください。

koiwa.png 高額療養費とは、医療費が高額になった場合に、自己負担が過重とならないよう、自己負担に一定の歯止めを設ける仕組みです。健康保険の療養の給付の一部負担金は原則3割(70歳未満の場合)ですが、負担が高額となった場合には、一定の条件のもとに家計の負担が軽減されることになります。

 例えば、年収約370~770万円の人が100万円の医療費を使った場合は、3割である30万円が自己負担額となりますが、
 「80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円」
 という算式が適用されますので、実際の自己負担額は87,430円となり、差額の212,570円が高額療養費として支給されます。

 このような算式で求められた金額を自己負担限度額といいますが、70歳以上と69歳以下とでは適用される上限額が異なるため、高齢者と若者との間で負担の公平を図る必要が指摘されていました。そこで2017年8月から、70歳以上の高額療養費の上限額が、以下のように変更されました。

 

【70歳以上の上限額】(月ごと)

2017年7月診療分まで 

被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
①現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方) 44,400円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]
②一般所得者(①および③以外の方) 12,000円 44,400円
③低所得者 (非課税者等) 8,000円 24,600円
(所得がない場合) 15,000円

 2017年8月診療分から 

被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
①現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方) 57,600円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]
②一般所得者(①および③以外の方) 14,000円 57,600円
[多数該当:44,400円]
③低所得者 (非課税者等) 8,000円 24,600円
(所得がない場合) 15,000円

 ニュース等では、高齢者の医療費負担が毎月2,000円増加したという報道もありましたが、それは②一般所得者の外来の場合の自己負担限度額が、12,000円から14,000円に引き上げられたことを指しています。

 70歳以上の高額療養費の改正は、2017年8月から従来の仕組みを維持したまま限度額の引き上げが行われましたが、さらに2018年8月からは所得区分を細分化して限度額の引き上げが行われる予定です。少し複雑な改正となりますので、最新情報をチェックするよう心掛けたいですね。

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