コラム記事一覧へ

2017年9月21日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」38・就業規則と労働契約の関係

Q 人材派遣会社で労務管理を担当していますが、法改正の内容やこれからの業務の方向性に対応するために、就業規則や労働契約の見直しをしたいと考えています。
 就業規則と労働契約はどちらも大切だと思うのですが、就業規則を変更する手続きは結構大変なので、できれば労働契約の方で対応したいと思っています。 就業規則と労働契約に記載すべき事項には重複する部分も多いと思うのですが、労働契約で網羅するにあたって注意すべき点はあるでしょうか。

koiwa.png 就業規則については、常時10人以上の労働者を雇用する使用者に労働基準監督署への届出を行う義務があり、労働時間、賃金、退職に関する事項などは必ず記載しなければなりません(労基法第89条)。

 労働契約については、賃金や労働時間等の労働条件を入社時に書面で明示しなければなりません(労基法第15条)。これは労働契約書、労働条件通知書といった名称を問わず同じです。

 就業規則と労働条件通知書の記載(明示)事項のうち、始業終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、賃金に関する事項、退職に関する事項(解雇の事由を含む)などについては、共通する項目となります。

 逆に、賞与・退職金や表彰・制裁に関する事項、職業訓練に関する事項などは、就業規則に定めを置いた場合のみ記載しなければならない事項となります。これらについては、労働条件通知書に記載しただけでは不十分であり、就業規則上の根拠が必要となります。

 なお、就業規則と労働契約との優位関係については、労働契約法で次のように規定されています。

(就業規則違反の労働契約) 第十二条
 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。


 派遣会社の場合、新たに発生する無期雇用派遣労働者に対応するため、就業規則に「無期雇用派遣労働者については、個別労働契約による」という規定を置くケースも見られますが、上記の規定に照らすと問題が生じる可能性があります。

 個別の労働契約で定めた労働条件の内容が、その労働者に適用される就業規則の規定の内容を下回ることのないよう、十分に注意していきたいものです。

PAGETOP