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2017年10月26日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」43・正社員就業規則とパート・契約社員就業規則の関係

Q 就業規則の見直しをしているのですが、従業員が増えてきたので、パートタイマーや契約社員についても、それぞれ別個の規則を作りたいと考えています。
 ただ、あまりボリュームが増えても分かりにくくなるので、基本は正社員の就業規則をベースにしていきたいと思っています。どのような点に注意すべきでしょうか。

koiwa.png 就業規則は、労働時間や賃金といった労働基準法第89条で定められた記載事項を具備するものであれば、自由な形式で作成することができます。パートタイマーや契約社員に関する内容を正社員就業規則の中に盛り込むのか、それぞれ別規則にするのかも、もちろん自由です。

 正社員とパートタイマーや契約社員とは労働条件が大きく異なり、労務管理の方法にも違いがあることから、別規則とした方が運用しやすいことが多いようです。正社員就業規則の内容を基本としつつ、正社員の労働条件と異なる部分を別規則に記載するというケースも多くみられます。

 その場合、就業規則の適用の条項に、「この規則は、会社に在籍する全従業員に適用する。ただし、次に掲げる者については、規則の一部を適用しないことがある」といった内容が置かれるのが一般的です。

 パートタイマーや契約社員を例外として、「規則の一部を適用しない」とする方法には一定のリスクがあります。この場合、正社員就業規則のうち、どの従業員について、どの部分が適用されなくて、その代わりにどのようなルールや条件が適用されるのかが、明確でなければならないからです。

 最近の有名な裁判例となっている長澤運輸事件では、正社員と嘱託社員の賃金等の差異が争点となりました。全従業員に適用される就業規則について、嘱託社員には一部を適用しないという場合は、別規則でその具体的な内容が明確に規定されている必要があり、それがない場合には正社員の規定が適用されると判断されました。

 正社員就業規則では、「パートタイマーや契約社員については別規則による」と規定していても、別規則が存在しなかったり、あるいは具体的で明確な規定が置かれていないというケースはしばしばみられます。解釈によっては正社員と同じ賞与や退職金を支給しなければならないと判断されることもあり得ます。

 なお、上記はパートタイマーや契約社員にかぎらず、派遣会社に雇用される派遣労働者についても、まったく同じことがいえます。派遣労働者の就業規則を作成・変更する際にも、十分に注意したいものです。

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