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2017年11月 2日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」44・無期転換後の「別段の定め」に制約はあるのか

Q 労働契約法の無期転換ルールが適用される従業員が発生するのにあたって、当社ではあらかじめ「別段の定め」を規定して対応しようと考えています。
 「別段の定め」については、あらかじめ労働契約や就業規則で規定された内容であれば問題ないと聞いたのですが、会社の判断で自由に設定することができるのでしょうか。 

koiwa.png 労働契約法第18条では、所定の要件を満たした有期契約労働者が無期転換する際には、従前の労働条件(契約期間を除く)がそのまま引き継がれるのが原則であり、例外的に労働条件について「別段の定め」がある場合には、その内容によるとされています。

 ここでいう労働条件は労働契約や就業規則で規定されますから、無期転換に先立って労働契約書や就業規則で「別段の定め」が置かれていた場合は、その内容に従うことになります。この内容について条文上の制約はありませんから、基本的には会社は自由な裁量で設定することが許されます。

 それでは、「別段の定め」の内容にはまったく制約はないかというと、必ずしもそうではありません。厚生労働省の「無期転換ルールQ&A」では、「無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません」とされています。労働条件が低下する不利益変更に該当するような内容については、当然のことながら認められないでしょう。

 そもそも無期転換ルールは、「安心して働き続けることができる社会を実現するため」(無期転換ルールQ&A)に作られたものです。したがって、無期転換後の労働条件があまりに高いことによって、実質的に無期転換権を行使するにあたってのハードルが高くなる場合には、問題となるケースも出てくることが想定されます。

 週数日勤務のパートタイマーが、無期転換後は例外なくフルタイムとなる。ある特定の職種のみに従事していた契約社員が、無期転換後は自動的に総合職的な役割となる。このような設定も違法とはいえませんが、無期転換制度の趣旨に照らして合理性を担保するためには、給与等の待遇を向上させる等の一定の優遇措置とあわせて実施することが望ましいといえるでしょう。

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