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2017年11月 9日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」45・新しい外国人技能実習制度とは?

Q 当社では従来から外国人の技能実習生を受け入れているのですが、今回この制度について法改正があったと聞きました。
 具体的にどのような点が変わったのですか。また、実務上はどんな点に留意すべきですか。

koiwa.png 外国人技能実習制度とは、日本の企業等が開発途上国等の外国人を一定期間受け入れ、OJTを通じて技能を移転することで、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度です。技能実習生は入国直後の講習期間以降は、3年(新法により最長5年)労働者として雇用されることになるため、積極的に採用するケースも少なくなく、全国で約23万人(2016年12月末現在)存在しています。

 一方で、違法残業や割増賃金の不払い、強制貯金、パスポートの取り上げ、強制帰国などの問題が後を絶たず、厚生労働省が2016年に行った監督指導でも約7割に労働関係法令違反が認められ、特に悪質な事案約40件が送検されています。

 こうした問題の改善を図るため、管理監督体制を強化し、技能実習生の保護等を図るために2016年11月に制定されたのが、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」です。2017年11月1日に全面施行され、監理団体292団体に許可が付与されました。新たな制度の概要は、以下の通りです。

1.技能実習制度の適正化
・技能実習の基本理念と関係者の責務および基本規定の策定
・技能実習制度の認定制(改善命令や認定取り消しが可能)
・技能実施者の届出制
・監理団体の許可制 ほか

2.技能実習生の保護
・人権侵害等に対する罰則等の整備
・技能実習生の申告制度、相談・通報窓口の整備 ほか

3.技能実習制度の拡充
・優良な実習実施者・監理団体における実習期間の延長(3年から5年へ)
・優良な実習実施者・監理団体における受入れ人数枠の拡大 ほか


 従来は監理団体や実習実施者の義務・責任が不明確でしたが、監理団体が許可制、実習実施者が届出制、技能実習計画が認定制となったことで、技能実習体制や実習生の保護体制が整備・強化されました。今後の実習生の受入れは技能実習計画の認定が前提となり、業界団体等の監理団体を通じて受入れを行う場合は、監理団体の許可、実習実施者の届出に基づいた仕組みによることになります。

 新法では、技能評価試験の合格率や指導・相談体制等について一定の要件を満たした優良な監理団体や実習実施者に関しては、3年から5年への実習期間の延長や最大5%から10%までの受入れ人数枠の拡大、地域限定の職種・企業独自の職種など対象職種の拡大が認められています。技能実習制度を運用する中で、必要に応じてより効果的な活用を図っていきたいものです。 

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