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2017年11月16日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」46・暫定的な配慮措置による派遣業の許可更新は?

Q 現在、特定労働者派遣事業を営んでいますが、来年9月30日以降は事業の継続ができなくなるため、早期に派遣事業許可に切り替えたいと考えています。
 現状では資産要件を満たすことができないので、暫定的な配慮措置によって許可申請をしたいと思うのですが、この条件によると3年後の許可更新ができないと聞きました。
 本当にそうなのでしょうか。そうだとしたら、今後はどのように対応したらよいのでしょうか。

koiwa.png 労働者派遣事業には、事業所や派遣元責任者、キャリア形成支援制度、個人情報の適正管理といったさまざまな許可要件がありますが、なかでもハードルが高いとされているのが財産的基礎に関する要件です。財産的基礎としては、以下の3点をすべて満たす必要があります。

①資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(基準資産額)が2,000万円以上(1事業所あたり)
②基準資産額が、負債の総額の7分の1以上
③自己名義の現金・預金の額が1,500万円以上(1事業所あたり)


 これらの要件をすべて満たすことが困難な事業所も少なくないため、2015年9月の改正派遣法施行段階で、特定労働者派遣事業を行っていた事業所については、暫定的な配慮措置によることができるとされています。具体的には、以下の通りです。

小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置

(1)常時雇用している派遣労働者が「10人以下」の中小企業事業主(当分の間)
①基準資産額が1,000万円以上
③現金・預金の額が800万円以上

(2)常時雇用している派遣労働者が「5人以下」の中小企業事業主(2018年9月29日までの間)
①基準資産額が500万円以上
③現金・預金の額が400万円以上


 上記はあくまで許可申請にあたって暫定的な配慮措置の内容です。許可更新については、(1)の要件のみが規定されており、(2)の要件は存在しません(「労働者派遣事業業務取扱要領」P83)。したがって、現在、特定労働者派遣事業が(2)の要件によって許可申請を行った場合には、3年後の許可更新ではその要件によることはできません。

 (1)については許可更新の要件としても業務取扱要領に記載されていますが、あくまで「当分の間の措置」とされているため、この要件がいつまで存続するかは分かりません。今後の政策判断等によっては、配慮措置の撤廃や引き上げが行われる可能性もありますので、許可申請の要件については十分に注意していきたいものです。

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