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2017年11月23日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」47・無期転換によって無期雇用となった人の労働条件

Q 来年4月から本格化する労働契約法の無期転換ルールについて質問があります。会社としては要件を満たす労働者から申込みがあれば、当然のことながら無期雇用に切り替えていくつもりです。
 ところが、無期転換することが必ずしもその後の労働者の労働条件の向上に結び付くとは限らない例もありうると聞きました。それは、どのようなケースなのでしょうか。

koiwa.png 労働契約法の無期転換ルールは、非正規雇用労働者の雇用の安定を図ることを目的とした制度です。法律の要件に従って労働者から申込みがあれば、会社の意思に関わらず無期雇用に転換し、労働者はその会社での長期雇用が見込まれることになります。この意味では、非正規雇用労働者としての労働条件は向上することになります。

 ところが、非正規雇用労働者の労働条件には、もうひとつの観点があります。今話題になっている、同一労働同一賃金です。同一労働同一賃金ガイドライン案によると、「同一労働同一賃金は、いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」です。

 この場合の「非正規雇用労働者」は、有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者のいずれかのことを指しています。したがって、フルタイムの有期雇用労働者が無期転換した場合は、無期雇用フルタイム労働者となり、「非正規雇用労働者」の対象からは外れます。契約期間が無期になっただけで、「正規雇用労働者」のひとつに位置づけられるのです。

 そうすると、無期転換してフルタイム無期雇用労働者となった者が、正社員との間に労働条件の差があったとしても、理屈上は「正規雇用労働者」の中での差であり、同一労働同一賃金の問題として取り扱うテーマではないということになります。

 今後の同一労働同一賃金をめぐる立法化や実務運用の方向によりますが、少なくとも現在のガイドライン案の考え方に立つとこのようなある種の矛盾が起こる可能性があります。無期転換ルールを考える上でも、頭の片隅に置いておきたいものです。

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