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2018年1月25日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」56・上司の指示に従わない従業員への対応

Q 年明けから勤務態度が著しく悪くなっている従業員がいます。上司の指示に従わなくなり、朝礼などでも反抗的な態度をとり、同僚たちとの間でも会社の悪口を口にするようになっています。
 周囲には退職の意思を示しているようですが、責任者である私のもとには正式な相談は来ていない状況です。会社としてはどのように対応したらよいのでしょうか。

koiwa.png 年明けや5月の連休明け、お盆明けなどは、休暇中の生活のリズムから職場での活動のリズムへの切り替えに時間がかかったり、メンタル面での不安を抱えたりしてしまう人も少なくありません。その人の性格や社会経験、職場での役割などにもよりますが、会社としては仕事モードへの切り替えに時間がかかる人もいるものだという認識で、本人と向き合うことが大切でしょう。

 その上で、本人の勤務態度が一変してしまったことの理由や原因について、会社ができるだけ詳細に把握する努力をしましょう。責任者が本人と個別に面談することが基本ですが、本人が面談自体に抵抗感を持つ場合には、話しやすい先輩からコミュニケーションをとってもらうことや、同僚から本人の仕事ぶりについてヒアリングすることも考えられます。

 上司からの正当な業務指示に従わなかったり、社内で露骨に職場秩序を乱したりするような発言を繰り返すことは、その程度や状況にもよりますが、一般的に職務専念義務違反や企業秩序遵守違反に該当する可能性があります。ただし、それらの義務違反の事実は会社側が立証する必要があり、懲戒処分を課すためには就業規則上の根拠が必要となります。

 勤務態度を理由に服務規律違反として戒告や減給などの懲戒処分を課す場合は、前提として会社側が一定の教育指導を行った上で、本人に改善の機会を与えることが望ましいといえます。状況によっては業務指示や改善指導を書面で行い、本人からの反省や改善の意思についても書面を残す仕組みをつくることが効果的でしょう。

 退職の意思については必ずしも書面で伝えなくても有効ですが、人事権限を持つ人に対して意思表示する必要があります。周囲に退職を示唆しているレベルでは正式な意思とはいえませんが、会社としては慎重にコミュニケーションをとる努力が必要です。毅然とした態度でありつつも、十分に本人の話を傾聴する姿勢を大切にしたいものです。 

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