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2018年1月30日

【書評&時事コラム】『6時だよ 全員退社!』

生産性向上の身近なノウハウ

c180130.jpg著者・田中 健彦
日経新聞出版社、定価1600円+税

 

 「働き方改革」をめぐり、書店にはノウハウ本が山のように積まれ、関連セミナーなどは企業の人事担当者らで満員御礼が続出。この現象、裏を返せば、多くの日本企業にとって、従来の仕事のやり方では立ち行かなくなったことを意味している。

 本書もそうしたノウハウ本の一つだが、ザ・ドリフターズの「8時だヨ!全員集合」をパクったようなタイトルにもかかわらず、提案が具体的で、企業の抱える現実的な課題と向き合い、「これならできそう」と思わせる説得力を持ち合わせている。

 「無駄を徹底して省く」「ホウレンソウはいらない」「正しい残業の減らし方」「付加価値を追求する考える集団へ」など、全8章で構成。富士通で小型コンピューター開発に携わり、豊富な海外勤務体験によって、日本人の働き方のどこがムダなのか、どうすれば付加価値を上げられるのかをよく知っている。自身の失敗も平気で披露しているところが面白い。

 出身母体がIT系企業のため、内容もITがらみの話が多いが、社内会議やチームのコミュニケーションのあり方など、異なる分野、業種でも十分応用できる。国際的に低レベルにある日本企業の生産性をどう高めるか、多くのヒントが得られそうだ。 (俊)

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