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2018年2月 8日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」58・副業・兼業の促進に関するガイドライン

Q 弊社では近年、収入の確保やスキルアップを目的にダブルワークを行う従業員も出てきています。就業規則では二重就業は原則禁止としていますが、個別の事情による判断として、黙認しているのが現状です。
 ところで最近、このような副業について国からガイドラインが出されたと聞きました。それはどのようなものでしょうか。

koiwa.png つい先日、厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表されました。これは、2017年10月から12月にかけて開催された「柔軟な働き方に関する検討会」での議論を踏まえて、作成されたものです。同時に、兼業・副業に関する規定も盛り込んだ「モデル就業規則」も公開されています。

 従来、我が国の多くの企業では、職務専念義務や競業避止義務などを理由に、労働者の副業や兼業について原則禁止が一般的でした。2017年12月時点の厚生労働省の「モデル就業規則」でも、労働者の遵守事項として、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が置かれていました。

 ところが、近年の雇用形態の多様化や働く人の意識、キャリアアップのあり方の変化などから、副業や兼業を希望する人は年々増加する傾向にあり、就業者全体に占める副業希望者の割合は5.7%といわれています(2012年、総務省「就業構造基本調査」)。

 副業や兼業の適否を争った裁判例も多数ありますが、基本的には労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは自由であり、企業が制限することが許されるのは、秘密保持義務や競業避止義務に違反する場合に限定されるというのが、一般的な考え方とされています。

 そこでガイドラインでは、「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」とした上で、「副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる」と述べています。

 なお、ガイドラインの公表を受けて内容が更新された「モデル就業規則」では、副業・兼業について以下のように規定されています。

(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合


 あくまでひとつの規定例であり、必ずしもこの通りの内容にしなければならないわけではありませんが、副業や兼業の促進という時代の趨勢に対応した規定の変更を検討する場合には、ぜひ参考にしたいものです。

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