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2018年3月29日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」65・社会保険の随時改定の保険者算定基準の見直し

Q 社会保険の随時改定(月額変更)の手続きについて、今後は例外的な取り扱いが認められるようになったと聞きました。具体的には、どのように変更されるのでしょうか。

koiwa.png 社会保険(健康保険、厚生年金保険)では、将来受ける年金や傷病手当金などの給付の計算の基礎となる被保険者の「標準報酬月額」を決定するルールとして、定時決定(算定基礎届)と随時改定(月額変更届)の二種類があります。

 定時決定は、4月から6月までの3か月間の報酬の月平均額を基に新たな標準報酬月額を決定するために毎年7月に実施され、随時改定は、定期昇給等による固定的賃金の変動があり、その月から3か月間の平均額と標準報酬月額に著しい差異が生じた場合に、その翌月から標準報酬月額を改定するために実施されます。

 定時決定については、例外的な取り扱いが2011年から認められており、定時決定の際の標準報酬月額の算定において、4月から6月までの報酬の月平均額と年間の報酬の月平均額とが著しく乖離する場合には、一定の手続きを行うことにより、「報酬月額の算定の特例」により標準報酬月額を算定することができます。

 これにより、例えば毎年4月から6月が繁忙期であり、残業手当等により毎年のようにこの時期に特有の報酬変動が発生している場合には、申立書を提出することにより、4月から6月の高い平均額ではなく、一年間の低い平均額で標準報酬月額を決めることができるわけです。

 しかし、この取り扱いについては、随時改定には認められていませんでした。したがって、例えば同じ部署で同じ仕事をしていて給与も同じ同僚がいたとしても、著しく残業が多い時期や昇給の時期が異なる場合などには、結果的にその同僚との間で標準報酬月額が異なり、社会保険料にも差が発生することがあるという矛盾が指摘されていました。

 このような矛盾を解消するため、総務省の行政苦情救済推進会議の意見やあっせんを踏まえて、2018年10月1日からは随時改定にも定時決定と同じように「報酬月額の算定の特例」が認められるようになりました。同日以降は、月額変更届を提出する場面でも、一定の要件に該当する場合には、あわせて「年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)」を提出することで、特例を使うことができるようになります。

 この制度の実施まであと半年ほどありますが、非常に複雑な仕組みであり、状況によっては被保険者や事業主の利益にもなる内容であるため、早めの情報収集と実務対応の準備に心掛けたいものです。

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