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2018年5月 3日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」70・業務委託契約のポイント

Q 人手不足もあって業務を回していくことが厳しいため、経験のある人と業務委託契約を結んでいきたいと思っています。例えば、営業の仕事などを業務委託することは可能でしょうか。

koiwa.png 企業がある仕事を担当する人的資源を用いる場合、労働契約のほか、委任契約や請負契約などによることがあります。法律行為を目的とする委任契約は弁護士などの専門業務に限られますが、それ以外の事務の委託も「準委任契約」として認められ、俗に「委託契約」と呼ばれたりします。

 営業の仕事の業務委託(準委任)も可能ですが、この場合は出勤・退勤や業務上の指示、会議への出席など労働者としての実態が確認されると、業務委託という考え方自体が否定されることがあります。具体的には、以下の「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(労働基準法研究会報告、昭和60年12月19日)を参考にすべきです。 

1.「使用従属制」に関する判断基準
(1)「指揮監督下の労働」に関する判断基準
・仕事の依頼、業務従事の指示等に関する諾否の自由の有無
・業務遂行上の指揮監督の有無
・拘束性の有無
・代替制の有無(指揮監督関係の判断を補強する要素)
(2)報酬の労務代償制に関する判断基準

2.「労働者制」の判断を補強する要素
(1)事業者制の有無
・機械、器具の負担関係
・報酬の額
(2)専属性の程度


 業務委託を始めるに際しては、会社の機密保持などをうたった契約書を交わすことも大切ですが、業務上の指示をしない、始業・終業などの時間的拘束をしない、副業や兼業を認めるといった実態が何より重要です。今まで従業員だった人やすでに面識のある人に業務委託を行う場合には、とりわけ注意する必要があるでしょう。

 また、委託契約には社会保険が適用されないとか、残業や休日出勤の場合の割増賃金が適用されないといった不当な動機による契約は厳に排除されるべきですので、本来の委託(準委任)の意味が形骸化されることのないよう、真摯な対応を心掛けていきたいものです。

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