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2018年5月15日

【書評&時事コラム】影の薄いリーリー

 大型連休後半のある日、小学2年生の孫娘に連れられて東京・上野動物園に出かけた。動物園など本当に久しぶり。昔、息子を連れていったおぼろげな記憶はあるが、「いつかは孫と一緒に」というひそかな願いが実現したのは結構なことだった。

c180515.jpg 予想通り、例のシャンシャン(香香)ブームで、園内のパンダ舎前は長蛇の列。事前の抽選に応募していなかったとかで、「シャンシャンはこの次だね」などと話していたら、孫が「パンダだあ!」と叫んで走り出した。確かに、塀をはさんだ隣の部屋に大きなパンダがおっさんスタイルで座り、竹をムシャムシャ食べている。パパパンダのリーリー(力力)で=写真、こちらの見物人は少なく、常時見放題。

 専門家によると、パンダのオスメスは日頃は別々に行動し、交尾期だけ一緒になるという独立タイプ。メスが妊娠すると、オスの役割はそこで終わり、あとは野となれ山となれ。と思っているかどうかはわからないが、要するに「用済み」になったのだという。そのせいか、シンシン(真真)・シャンシャンの母子パンダの圧倒的な人気に比べ、リーリーはあまりに影が薄い。動物園のホームページをみても、リーリーの記事はほとんどなかった。

 そんなことを思いながらリーリーを眺めると、お気楽なのか、孤独なのか、なかなか意味深な姿にも思える。「リーリーも可愛いねえ」とはしゃぐ孫に、私は「パパも大事にしようね」とワケのわからない耳打ちをしてしまった。(俊)

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