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2018年5月22日

【書評&時事コラム】『東大教授が教える知的に考える練習』

情報洪水時代の賢い頭の使い方とは

c180522.jpg著者・柳川 範之
草思社、定価1300円+税

 

 インターネットなどによる情報過多時代の私達は、以前ほど考えることをしなくなった。情報洪水に流されて意見が右往左往したり、逆に自分の考えに合う情報しか選択しない傾向が強まっている。いい年をした大人が、子供でもやらない幼稚な事件を起こす。ヘイトスピーチが根強く残る、といった現象もそのためかもしれない。

 本書は「自分でじっくり考えよう」と呼び掛け、そのノウハウを提示している。ただ、ノウハウと言っても料理レシピのような目に見えるものではなく、「頭の使い方のクセをつける」「情報はタレ流しでいいが、何かが引っ掛かる網を張っておこう」といった独自の知的ノウハウだ。

 「情報洪水時代で変わる頭の使い方」から「頭に残った情報は熟成し、やがて知性に変わる」までの5章構成だが、第3章の「知的に考えるための『調理道具』を揃える」における「考える土台づくり」は具体的で大いに参考になる。

 著者は東大を頂点とするいわゆる名門校出身ではない、「独学の東大教授」としても知られるが、それだけに着眼点はユニークで鋭い。もう少し、自身の体験談など具体的な事例を挙げてくれれば、もっとわかりやすくなったと思われる。 (俊)

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