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2018年6月 7日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」75・派遣労働者をめぐる「2018年問題」①

Q 派遣労働者をめぐる「2018年問題」には、2つのテーマがあると聞きました。それはどのような内容でしょうか。また、実務対応としては、どんな点に気をつけるべきでしょうか。

koiwa.png 労働法の「2018年問題」が話題となっています。派遣労働者をめぐる「2018年問題」というと、一般的には労働契約法の無期転換ルールへの対応という点と、派遣法の雇用安定措置への対応という点があります。この2つは別々の法律ですが、それぞれが複雑に絡み合っているところに実務対応の難しさがあります。

 労働契約法では、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約を通算した期間が5年を超える労働者には、無期転換申込権が発生するとされています(第18条)。この規定は、もちろん派遣労働者も例外ではありません。
 派遣法では、「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」(第25条)とされていますが、現実的に無期転換権を行使する派遣労働者が増えることで、無期雇用派遣労働者が増加していくことも予想されます。

 無期転換後の労働条件は、「現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く)と同一の労働条件(当該労働条件について別段の定めがある部分を除く)とする」とされています。したがって、契約期間以外の労働条件は従来と同じ内容とされるのが原則です。

 有期雇用の派遣労働者が無期転換すると、その当時の派遣先での就業における労働条件がそのまま引き継がれるため、当初の派遣労働者と派遣元との合意段階では実態として必ずしも想定していなかったような状況が生じてしまうケースも考えられます。

 このような事態を避けるためには、労働契約法の規定にしたがって、あらかじめ「別段の定め」を置くことによって、無期転換後の労働条件を変更させることが必要となります。「別段の定め」については、もちろん労使間の合意が必要ですが、実務的には就業規則と個別の労働契約の両方が求められると考えられます。

 いずれにしても、法律の趣旨および規定にしたがって事前の適切な対応が不可欠となりますので、その点には十分に留意していきたいものです。

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