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2018年6月21日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」77・未払賃金の立替事業とは?

Q 企業の倒産などにより賃金の不払いが発生した場合に、国がその賃金を立替えて支給する事業があると聞きました。具体的には、どのようなものですか。

koiwa.png 企業の倒産などにより賃金未払のまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部の立替え払いを行う制度として、未払賃金の立替事業があります。国の制度ですが、具体的には独立行政法人労働者健康安全機構が支払等の業務を実施しています。この制度を利用するためには、事業主、労働者それぞれが以下の要件を満たす必要があります。  

<事業主の要件>
(1)労災保険の適用事業の事業主、かつ1年以上事業を実施
(2)倒産したこと 
ア 法律上の倒産
 破産手続開始、特別清算手続開始など 
イ 事実上の倒産(中小企業事業主のみ)
 事業活動停止、再開見込みなし、賃金支払能力なし(労働基準監督署長の認定)

<労働者の要件>
(1)破産手続開始等の申立ての6か月前の日から2年間に退職
(2)未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明
(3)破産手続開始の決定等の日の翌日から2年以内に立替払請求


 1年以上事業を継続している労災保険の適用事業所が倒産した場合が対象ですが、中小企業の場合は事業活動の停止や事実上賃金の支払能力がない場合でも、労働基準監督署長の認定を受けることで対象となることがあり、東日本大震災の際にも多くの事業所が制度を利用しています。
 立替払の対象となる賃金については、破産手続開始等の申立または認定申請日の6か月前の日が基準日となり、支払日が到来しているにも関わらず未払いとなっている賃金のうち、基準日から2年以内に退職した労働者の未払賃金が対象となります。

 立替払いの対象となるのは、毎月の支払日に支払われる定期賃金と退職金であり、賞与(ボーナス)は対象になりません。立替払いされる額は、原則として未払賃金総額の100分の80ですが、年齢区分に応じた限度額を超える場合は、限度額の100分の80となります。また、未払賃金総額が2万円未満の場合は立替払を受けることはできません。

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