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2018年9月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」88・働き方改革による新しい労働時間の上限規制①

Q 働き方改革関連法が施行されることにより、労働時間の上限規制が強化されるといいますが、具体的にはどのような改正なのでしょうか?

koiwa.png 電通事件などの悲惨な過労死事案が相次ぎ、職場と家庭や地域との両立を視野に入れた多様な働き方を目指す国の方針などを受けて、「働き方改革関連法」が2018年6月に成立しました。労働基準法が70年ぶりに大改正されることになり、残業時間の上限が法律で定められました。具体的には、以下のような内容となります。 

 ① 残業時間の上限は、原則として月45時間、年360時間とする(臨時的な特別な事情がなければ超えることはできない)。
 ② 臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合に限って、次の上限とする(ただし、月45時間を超えることができるのは、年6回まで)。 
・年720時間以内 
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む) 
・月100時間未満(休日労働を含む)


 この改正では、月45時間、年360時間という残業時間の上限が法律で明確に規定されましたので、36協定を締結していても「特別条項」がない場合は、これらの上限を1分でも超えると明確な労働基準法違反となります。36協定も「特別条項」も、過去に遡って締結・届出して「免罰効果」が認められることはありませんので、あとから違法な状態を解消することはできません。

 「特別条項」を締結した場合は、年720時間まで延長することができますが、かなり厳しく複雑なルールがあります。月45時間を超えることができるのは年6回までというルールは、今と同じです。どれだけ忙しいからといっても、一年のうちで月45時間を超える月が6回を超えることは、認められません。
 その上で、年720時間という絶対的な縛りがあります。今までは法律上の規定ではなかったため、あまり多い時間数の「特別条項」を届出すると監督官から口頭で指摘されることはあっても、具体的に違法となることはありませんでした。

 今後は、これが労働基準法上、絶対に守らなければならないルールとなります。この年720時間は「年平均60時間」と説明されることがありますが、あくまで月45時間を超えることができるのは年6回までですので、毎月60時間まで残業できるというルールではない点には、気をつけたいものです。

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