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2018年11月 1日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」96・有給休暇の時季指定義務の特例

Q 来年4月から有給休暇の取得義務が始まりますが、時季指定義務には特例的なルールがあると聞きました。具体的にはどのような内容ですか。

koiwa.png 働き方改革に伴う労働基準法の改正により、2019年4月からすべての事業所で、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年 5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務づけられます。

 労働者ごとに、入社から6カ月年経過して有給休暇が発生した日 (基準日)から1年以内に5日について使用者が指定する必要がありますが、事業所の中には、有給休暇を法律よりも前倒しで付与している場合も少なくありません。

 通常は入社6カ月経過日が基準日となるため、社員ごとにバラバラとなり有残日数の管理等が煩雑となることから、例えば全社員4月1日に統一する方法がありますが、そうした斉一的付与もこれに該当します。

 有給休暇を前倒しで付与した場合の時季指定については、通常の方法で適用すると運用上の矛盾が生じるため、特例が置かれることになっています。その具体的な内容が、厚生労働省のリーフレット「年次有給休暇の時季指定義務について」で示されています。

 これによると、法定の基準日(入社から6カ月後)とは異なる付与日を設定する場合には、使用者は付与した日から1年以内に5日の有給休暇を取得させなければなりません。例えば、4月1日に入社した場合、法定の基準日は10月1日ですが、会社のルールとして4月1日から10日の有給休暇を付与している場合は、4月1日から翌年3月31日までの1年間に5日を取得させなければなりません。

 また、全社員の起算日を合わせるために入社2年目以降の社員への付与日を統一する場合などは、入社年と翌年とで付与日がことなるため、5日の時季指定義務の期間に重複が生じることになります。この「ダブルトラック」を解決するため、重複が生じる期間(前の期間の始期から後の期間の終期までの期間)の月数を12で除した数に5を乗じた日数について、取得させることも認められます

 斉一的付与には、基準日が統一される、残日数の管理が容易になる、などのメリットがあるため、有給休暇の取得義務がスタートするのにあたって導入したり、制度改定を検討したりする企業も少なくないと思います。いずれにしても法定より前倒しで付与する場合のルールはかなり複雑となりますので、十分な準備期間を設けて万全を期したいものです。

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