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2018年11月 8日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」97・改正派遣法の「比較対象労働者」とは?

Q 改正派遣法では、「比較対象労働者」の賃金などの情報を派遣先から派遣元に提供する義務があると聞きました。具体的にはどのような内容ですか。

koiwa.png 働き方改革関連法の施行にともない派遣法も大幅に改正されますが、その目玉が不合理な待遇差の解消(同一労働同一賃金)です。2020年4月から施行される改正法では、派遣先の労働者との均等・均衡待遇方式と一定の要件を満たす労使協定による待遇決定方式の選択2方式になることが決まっています。

 前者が法律上の原則とされていますが、この場合は、派遣先(になろうとする者)は、あらかじめ派遣元に対して、「比較対象労働者」の賃金その他の待遇に関する情報等を提供しなければなりません(第26条第7項)。「比較対象労働者」については、以下のように定義されています。 

 「比較対象労働者」とは、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定めるものをいう。(第26条第8項)


 条文上の説明はとても長いですが、①職務内容(業務内容と責任の程度)、職務内容と配置の変更範囲が派遣労働者と同一の見込みがあるもの、②その他厚生労働省令で定めるもの、の2点となっています。

 ①については、労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)と基本的に同じ考え方です。具体的には、派遣先の正規雇用労働者かそれに準じた労働者のうち、派遣労働者と同一の職務内容や配置の変更範囲等が見込まれるものとなります。

 ②については、今後厚生労働省令が定められることになりますが、派遣先に①が存在しない場合の例外等が想定されます。

 いずれにしても、改正法施行後は、派遣先から派遣元への「比較対象労働者」の賃金その他の情報等の提供がないときは、労働者派遣契約を締結してはならないとされていますので(第26条第9項)、十分に意識して実務の流れを作っていく必要があるでしょう。

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