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2018年12月27日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」104(最終回)・2019年以降の法改正と人材サービスは?

Q 人材派遣業を営んでいますが、働き方改革関連法の成立を受けて、2019年以降は人材サービスを取り巻く環境も大きく変わっていくと思います。具体的にはどのような点に留意すべきでしょうか。

 働き方改革関連法の施行により、派遣法も大きく改正されます。派遣労働者の同一労働同一賃金(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保)については、労働政策審議会の答申を受けて、近く省令や指針が公布されることになります。具体的なガイドラインとなる業務取扱要領も年度末までには公表されるといわれているため、2019年は2020年4月の施行に向けた準備に取り組む1年となるでしょう。

 実務的には、「派遣先の労働者との均等・均衡待遇方式」と「派遣元の労使協定による待遇決定方式」のいずれを適用するかの選択や、派遣契約締結前に派遣先から比較対象労働者の待遇情報を受けるフローの構築などに着手することになります。労使協定方式では、派遣労働者の賃金の改善を図る賃金表や昇給制度、公正評価によって賃金を決定する仕組みが求められ、正社員の人事考課のような本格的なものではないにせよ、派遣労働者の就業の実態に即した何らかの人事・評価制度を設計・運用することが必要となります。

 また、2019年4月から施行される年次有給休暇の取得義務化や大企業における時間外労働の上限規制の強化なども、派遣労働者の労務管理に大きな影響を与えることになります。派遣労働者の有給休暇の付与については統一的な取扱いが難しいことから、計画的付与や個別的付与の仕組みを導入するケースも増えることでしょう。

 時間外労働の上限規制については、中小企業への適用は2020年4月からですが、大企業の派遣先で就業する派遣労働者については、2019年4月から適用されることになるため、派遣先ごとの個別の労働時間管理がますます重要となります。上限規制の違反については派遣先に罰則が適用されることも含めて、法改正の内容をしっかりと周知していくことが大切でしょう。

 2019年4月から施行される改正入管法についても、慢性的な人手不足に対する対応策として、注目していく必要があります。新たな在留資格の外国人については直接雇用が原則とされますが、一部については派遣就業の例外も認められる方向であり、広い意味での人材サービスへの影響も予想されるでしょう。

 2019年は人材サービスに関わる法改正が順次施行されていく変革の年であり、新たな制度の体制構築や周知などを進める中で、働く人と仕事との橋渡し役を担っている人材サービスの役割の本質が、ますます問われていくことになるでしょう。働き方改革が、働く人の幸せと事業の健全な成長につながるよう、しっかり取り組んでいきたいものです。

読者のみなさまへ 小岩 広宣

koiwa.png 2017年1月から始まったこのコラムですが、早いもので丸2年間の連載を終えて今回が最終回となります。振り返れば、労働契約法や派遣法の2018年問題、特定労働者派遣事業の廃止、労働社会保険の法改正など、盛りだくさんのテーマがありました。そして、働き方改革関連法の成立による70年ぶりの労働法の大改正は、平成から次の時代へと雇用制度が変遷する幕開けだといえるでしょう。

 とりわけ、人材サービス事業者を取り巻く環境は、今後、同一労働同一賃金のスタートによって、さらに変化が加速していきます。本欄の執筆で得た経験を生かして、変化に富んだ時代に対応した情報やサービスがさらに提供できるよう、微力ではありますがさまざまな形で尽力していきたいと思っております。

 最後に、毎週お読みくださった皆様に心からお礼申し上げます。2年間、ありがとうございました。

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