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2019年1月17日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」3・時季指定義務の基準日

Q 年次有給休暇(年休)の時季指定義務の基準日は、2019年4月1日から1年間でよいでしょうか。

nakamiya03.png 年休の時季指定義務の基準日は、原則として10日以上の年休を付与した日が起算日となります。2019年4月1日から改正法が施行されますが、4月1日以後最初の年休付与日を基準日とします。

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 派遣社員の多くは、6か月経過日に10日付与することが多いと思われることから、各派遣社員の基準日はバラバラになります。2019年4月以降、毎月基準日を迎えることから取得状況を毎月管理し、年休5日を取得させなければなりません。
 バラバラの基準日を統一することは可能ですが、初回付与は入社6か月以内でなければならないことから前倒し付与が必要となります。

例:派遣社員の基準日を4月1日に統一する

  初回 2回目
入社日に付与 4月1日を迎えたら2回目の付与
6か月経過日に付与 4月1日を迎えたら2回目の付与

  ①②どちらの方法でも9月30日が初回付与日であっても、翌日には2回目の付与となり、①方式の場合、入社2日で21日付与ということもあり得ます。
 また、統一するために前倒し付与を行った場合、1年間に2回基準日が生じてしまうことから特例が定められています。

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 期間A、期間Bそれぞれで5日取得ではなく、2019年10月1日から2021年3月31日の18か月間に7.5日取得することで良いとされています。
 18か月÷12か月=1.5 1.5×5日=7.5日
 最低でも7.5日取得させなければならないことから、半休制度がない場合は8日取得させる必要が生じます。
 現実的には基準日を統一するための管理より、毎月の取得状況を管理した方が簡単と思われます。 

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員) 

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