スペシャルコンテンツ記事一覧へ

2015年12月 7日

ランスタッドの新社長に就任した猿谷哲氏に聞く(下)

「『グローバルの強み』を働く人と企業の成長に生かす」

―― 改正派遣法は派遣会社にスタッフのキャリアアップの義務化など、責任を格段に重くしましたが、その影響はあるのでしょうか。

is151203.jpg猿谷 業界全体では「負担増」になると言われますが、当社の場合は法改正とは関係なく、従来からキャリア形成はどうあるべきか。加えて、トレーニングの改善などに取り組んできたので、特段の負担感はありません。逆に、真摯に取り組んでいるかどうかで評価が明確になり、派遣先企業や派遣社員の信頼感を高められるような制度になるべきではないかと思います。

 当社の場合、2012年から「ランスタッドアカデミー」というビジネス講座を開いており、パソコンスキルや英会話など幅広い講座を活用してもらっているので、要望を聞きながらこの内容をブラッシュアップしているところです。

 旧政令26業務の社員については、派遣期間の上限が3年に制限されますが、個別に対応していく必要があります。さらに、派遣先企業が個々のスタッフの処遇をどう考えていて、直接雇用する意向があるのか。また、働く側には直接雇用されたいと考えている人ばかりではないので、仮に当社でキャリアを磨きたいと考えていれば、当社が無期雇用するという方法もあります。どれが最善の選択肢になるのか、そこを見極めて提案するのがまさに我々の仕事です。

―― 終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行が崩れつつあります。

猿谷 日本的雇用慣行には良いところもたくさんあり、それが日本の経済成長を支えてきた点は確かです。しかし、現代のような人口減に伴う低成長社会になると、それだけでは立ち行かなくなっていることも間違いない事実です。

 ランスタッドの本部があるオランダで成功した「同一労働・同一賃金」の理念が日本でも注目されるようになりましたが、当社では各国の人事政策の紹介や導入の提案などを通じて企業に貢献していきます。それがグローバル人材会社の強みのひとつですが、このテーマはまだ日系企業向けにカスタマイズされていない部分もあるので、一足飛びに変化が難しくても今後の課題として努力を重ねていきます。

 ただ一方で、そうした理念を立体的に具現化するにおいて、日本では派遣と紹介が別々の法律で規制されるなど、労働法制全体が現代の人材の有効活用を促す制度になっていません。近年、政府も法制度の改正を意識するようになったことは大きな前進ではないでしょうか。

―― 今回、40歳の若さで新社長に抜擢されましたが、抱負を。

猿谷 私は、労働市場も業界も企業も変化し続けるべきだと思っています。過去の風習や慣行でも良いものは残しつつ、それに縛られるべきではありません。変化を歓迎する人、変化を怖がる人それぞれでしょうが、環境変化に対応できない組織が生き残れないことは間違いないです。そこのかじ取りが私の使命だと思っています。

 まずは業界最高のサービス提供を通じて、会社の存在感、社員のプライドを高めたいですね。M&Aについては企業文化や親和性といった点を重視して臨みます。売り上げ規模を伸ばすだけのM&Aは考えていません。 (おわり)


猿谷 哲氏(さるや・さとし) 1975年10月、群馬県出身。高崎経済大学経済学部卒業。日興証券を経て、経営統合前のフジスタッフホールディングス傘下の旧アイラインに営業担当として入社。ランスタッド統合後、営業企画本部長、首都圏本部長、取締役などを経て2015年1月から副社長。10月に社長兼COOに就任。ランスタッドは本部をオランダに持つ世界最大級の総合人材サービス企業で、国際人材派遣事業団体連合(Ciett)の会長を2代連続で輩出中。日本法人の本社は東京都千代田区。14年の売上高約650億円。

 

【関連記事】
「オランダの労働市場改革」に関する勉強会、日本記者クラブ主催
バルケネンデ元蘭首相とCiettのムンツ会長ら登壇(10月14日)

ランスタッド新社長に猿谷副社長が昇格(7月7日)

PAGETOP