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2018年5月14日

◆経済トピックス◆ 弱含みの個人消費でも

ネット取引など急激な構造変化

 国内景気は堅調にもかかわらず、個人消費の勢いは弱含みのまま推移している。個人消費はGDP(国内総生産)の6割を占める最大項目で、政府・日銀も賃上げ誘導やマイナス金利などを通じて消費活性化に躍起となっているものの、効果は十分上がっていない。しかし、インターネット取引などは急激に進んでおり、消費市場の構造変化が大きなウネリとなっているようだ。

 総務省の家計調査報告によると、3月の2人以上世帯の消費支出は1世帯当たり30万1230円で、変動調整値による比較では前年同月比0.6%増だったが、物価上昇分を差し引いた実質支出は同0.7%減だった。実質ベースでは2月の同0.9%減に続く2カ月連続の減少。月次推移でも、昨年4月の同1.4%減と6月の同2.3%増の間の狭いレンジで増減を繰り返しており、「活発な消費」というイメージとはほど遠いペースだ。

 2017年度の消費内容は、光熱・水道、ガソリンを含む交通・通信などが増えた一方、レジャーを含む教養娯楽や被服・履物は減少。家具・家事用品は家電の買い替え時期だったために増えたが、生活必需品への支出増と“余裕”支出の節約という傾向がかなり鮮明に表れた。実質ベースでは4年ぶりにプラス転換したものの、その勢いは弱い。

 内閣府が2日に発表した4月の消費動向調査では、消費者心理を表す消費者態度指数(2人以上世帯、季節調整値)は43.6で前月比0.7ポイント減と2カ月ぶりに低下した。物価上昇に対する警戒感が強まっていることが指数の低下に表れているとみられ、内閣府は3月の「(消費者心理に)足踏みがみられる」から、4月は「弱含んでいる」と下方修正している。

 今年の春闘では、政府が音頭を取って労使とも「3%」の賃上げを目標にした。しかし、連合が10日に集計した平均引き上げ月額(4091労組、加重平均)は6061円で、前年を2.09%上回ったものの、3%には遠く及ばない妥結結果となった。経営側は、好調な業績を背景に夏冬のボーナスを含む年収ベースでの「3%」を打ち出している企業も多いことから、今後、賃上げ率が上昇する可能性はあるが、消費者心理を大きく好転させるかどうかは不透明だ。

破竹の勢い、CtoC市場

sc180514.jpg ただ、こうした政府統計などに反映されにくい、新たな消費行動が活発化している点は見逃せない。その代表がインターネットを使ったEC取引。筆頭はスーパーなど小売り業界を揺るがすまで規模を拡大しているネット通販のアマゾンだが、近年はさらに多様化、高度化している。

 当初はヤフー、楽天などが主催するネットオークションが主流だったが、近年はスマホの普及=写真=でフリーマーケット(フリマ)アプリを運営するメルカリ社に代表される「リレー消費」が急増。楽天も16年にネットオークションからフリマアプリに転換した。

 リレー消費とは…

(本間俊典=経済ジャーナリスト)

 

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