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2018年7月30日

3年連続の「最賃3%アップ」というが

着々広がる「時給1000円」時代

 厚生労働省の中央最低賃金審議会がこのほど目安に決めた2018年度の最低賃金(最賃)の上げ幅は前年度比3.1%増の26円で、平均874円。政府が目標にしている1000円にまだ遠いものの、毎年続く大幅な賃上げに、賃金水準の低い企業が多い中小・零細にとっては経営環境が一段と厳しくなりそうだ。(報道局)

sc180730.png 最賃の3%という上昇率は16、17年度に続いて3年連続=グラフ。安倍政権は16年度の「日本再興戦略2016」、17年度の「働き方改革実行計画」で企業側に「配慮」を求めており、「働き方改革実行計画」の中では「年率3%程度を目途として……全国加重平均が1000円になることを目指す」と数値目標を明記。同審議会の結論もこれに沿ったもので、その意味では事実上の“官製最賃”となっている。

 政府にとっては、デフレ克服と景気の持続が最優先課題。そのためには、GDPの6割を占める個人消費の活性化が必要であり、企業収益が好調なうちに大幅な賃上げを実現させたいという思惑がある。そのため、ここ3年ほどは、春闘で企業側に「3%賃上げ」を強く要請する一方、最賃についても「3%上げ」を要請してきた。春闘は主に正社員、最賃は主にパート・アルバイトを中心とした非正規社員を念頭に置いている。

 実際の賃金相場はどうか。求人情報のディップが毎月発表しているアルバイト平均時給によると、6月は1039円で、2年近く上昇が続いている。地域別でも、関東が1090円、東海が1010円、関西が1046円、九州が935円で、東海以外は軒並み3~4%の伸びだ。

 また、アイデムが毎月公表しているパート・アルバイトの平均時給も、6月は東日本が1013円、西日本が987円。業種によるバラつきはあるものの、東日本では1年前から1000円台で推移しており、西日本も今年1、3、4月は1000円の大台を突破するなど、長期的な上昇基調にある。

 最賃の水準は、東京など賃金水準の高いAランクから、沖縄など水準の低いDランクまで4ランクに分かれ、都道府県ごとに最賃が決まるが、最も低い九州の現行最賃を例に挙げれば、福岡だけがCランクの789円で、残る6県はDランクの737円。Dランクの...

 

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