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2014年4月16日

難病の希少性と低所得層負担に議論集中  衆院厚労委、18日中にも採決の可能性

 衆院厚生労働委員会は16日、難病法案と改正児童福祉法案について3日目の審議を行った。議論は難病認定と難病患者の自己負担が中心となったが、患者団体の個別の要望に基づいたやり取りが大半を占めた。政府・与党は議論がほぼ出尽くしたとして、18日中にも採決に持ち込みたい意向だ。

 この日は、難病認定と医療費助成の基準について、山井和則議員(民主)らが相次いで質問した。法案では、(1)原因不明(2)治療法が未確立(3)希少な疾病(4)長期療法が必要の4要件を満たす疾病を「難病」とし、これらに(5)患者数が人口の0.1%程度以下(6)客観的な診断基準の存在、の2要件を加えた基準に合う疾病を医療費助成の対象にする。

 これに沿った厚生労働省の試算では、助成の対象疾病は現在の56疾病から300疾病以上に拡大するが、財源が限られているため、所得区分による新たな自己負担限度額を設定。この結果、新規認定患者の自己負担額は現行より大幅に軽減されるが、既認定患者は9割近くが負担増になると見込まれている。

 このため、この日の質疑も「なぜ対象を希少疾病に限定するのか」「低所得層の自己負担軽減を図るべきだ」(山井氏)などの疑問、要望が相次いだが、田村厚労相らは「希少疾病になるほど治療研究の公的支援は欠かせない」「財源に制約がある」などの答弁を繰り返し、議論はほぼ一巡して終えた。

 質問側は潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、既認定患者団体による自己負担増への不満を代弁する内容が目立ち、新たな難病対策の全体像に関する質疑はあまり見られなかった。

 

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