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2014年7月28日

指定難病検討委が初会合、8月中に1次選定へ  医療費助成の対象疾患は「18万人未満」

 厚生科学審議会の指定難病検討委員会(委員長、千葉勉・京都大学大学院医学研究科教授)は28日、初会合を開き、難病指定の基本方針を確認した。同委員会は5月に成立した難病法に基づき、医療費助成の対象になる指定難病の選定・見直し、助成の要件となる診断基準と重症度分類を審議するもので、難病医療の専門家8人で構成。純粋に医学的見地から客観的で公平な選定を目指す目的で、既存の難病対策委員会とは別に設置された。

 この日は検討の進め方について、既定の(1)発病の機構が明らかでない、(2)治療方法が未確立、(3)長期療養が必要、(4)患者数が一定の人数に達していない、(5)客観的な指標による一定の基準が定まっている――の5つの要件について、厚生労働省から「原因遺伝子などが判明している場合であっても、病態の解明が不十分な場合は該当するかどうか」など、さらに踏み込んだ考え方が示され、基本的に了承した。

 また、患者数についてこれまでは「人口の0.1%程度以下」と幅を持たせていたが、今回、「当面の間は0.15%未満」とし、患者数が18万人(0.142%)未満まで該当するという具体的な数字が示され、これも了承した。この結果、助成対象の中で最多人数となる潰瘍性大腸炎(約13万人)が除外される懸念はとりあえずなくなった。

 また、重症度分類は現行では表皮水疱症など12疾患しか設けていないが、今後は全ての対象疾患に原則として設けることにした。これらについては、国立保健医療科学院などのデータを基に審議する。

 同委員会は、8月中に3回程度の集中審議を経て個別疾患の選定をとりまとめ、これを受けて厚労省は来年1月からの第1次実施を目指す。医療費助成の対象疾患は現行の56疾患から300疾患程度に大幅に増える見通しで、第1次では56疾患を含む難治性疾患政策研究事業の130疾患を中心に対象にスタートしたい意向だが、時期が切迫していることから流動的だ。

【委員名簿・◎は委員長】

飯野 ゆき子 自治医科大学総合医学第二講座主任教授
大澤 真木子 東京女子医科大学名誉教授
◎千葉 勉 京都大学大学院医学研究科消化器内科学講座教授
直江 知樹 国立病院機構多古屋医療センター院長
錦織 千佳子 神戸大学大学院医学研究料教授
水澤 英洋 国立精神・神経医療研究センター病院長
宮坂 信之 東京医科歯科大学名誉教授
和田 隆志 金沢大学大学院医薬保健学総合研究科教授

 

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