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2017年2月14日

仕事と介護の両立、どう図るか  介護離職防止に向け支援シンポ

n170214.JPG シンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「仕事と介護の両立支援に関するシンポジウム」が14日都内で開かれ、企業の人事担当者やケアマネジャーらが多数参加した=写真。介護離職防止を目指す厚生労働省の委託事業。

 初めに中央大学大学院の佐藤博樹・戦略経営研究科教授が「仕事と介護の両立支援の課題とあり方」と題して基調講演した。佐藤教授は、企業も社員も両立に向けた意識がまだ稀薄で、漠然とした不安だけを持っている段階であることを指摘。大切な社員を離職させないためには、社員の支援ニーズの把握と制度の見直し、介護に直面する前の社員支援、柔軟な勤務体制などへの働き方改革といった課題を挙げた。その上で、育児休業と介護休業の根本的な違いを説明し、企業側の意識改革を促した。

 パネルディスカッションでは、三州製菓(埼玉県春日部市)総務部の板垣千恵子氏とケアマネジャー(山梨県北杜市)の唐木美代子氏が登場。板垣氏は、従業員254人のうち200人近くが女性という同社にとって、介護離職防止が重要課題になっている点を挙げ、柔軟な勤務時間や人繰り、テレワークの導入など、中小企業ならではのキメ細かい対応ぶりを披露した。唐木氏は、両立のポイントとして、一人で抱え込まず家族で役割分担する、ケアマネと緊密なコミュニケーションを図る、介護費用は親の収入の範囲内が原則といった要点を述べた。

 参加者からは「介護は私的領域なので、会社としてどこまで踏み込めるのか」「企業側の取り組みがどこまで進んでいるのか、ケアマネだけでは情報が入らないため、行政の後押しを求めたい」などの意見、質問が相次ぎ、現場では多くの課題解決に向けて模索が続いていることを浮き彫りにした。

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