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2018年10月18日

軽症患者ら2割が打ち切り  医療費助成の新基準、難病対策委

 厚生科学審議会の第59回難病対策委員会(千葉勉委員長)が開かれ、事務局の厚生労働省が医療費助成の経過措置終了後の支給認定状況を発表した。それによると、昨年12月末時点の適用者は約71万7000人だったが、経過措置の切れた今年1月1日から認定継続者は79.6%の約57万人に減少し、「不認定」が約8万6000人、「申請なし」が約6万1000人あった。6月に発表した暫定値とほぼ同じ数字だった。

 都道府県別の認定率では宮城県の86.0%が最も高く、高知県の69.2%が最も低かった。疾患別で目立ったのは、最も適用者の多い潰瘍性大腸炎の認定継続率が69.1%の約9万8700人となり、2万9000人近くが認定からはずれた。これに対して、次に多いパーキンソン病では92.2%の約8万5000人が継続認定され、打ち切られた人は7000人程度だった。パーキンソン病の場合、旧基準でも重症度分類が適用されていたことが主要因とみられる。

 厚労省によると、昨年3月末時点で約98万6000人が医療費助成を受けていることから、この日の適用者数から差し引いた約27万人が新たに対象となった疾患などの適用者数とみられる。

 2015年に難病法が制定され、医療費助成の対象疾患が56疾患から331疾患に大きく拡大する一方、全疾患について重症度区分と所得階層区分が設けられ、助成のハードルが旧基準より少し上がるとみられていた。しかし、従来の56疾患については3年間の猶予措置が適用され、今年から新基準が適用された。

 認定者数の減少について、厚労省では「治療法の改善によって、助成対象にならない軽症患者が増えたことも要因」と説明したが、患者側委員からは「軽症患者にここまで厳しい基準になるとは予想できなかった」との反発も出ており、来年から始まる難病法の見直しの大きな焦点になりそうだ。

 

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