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2017年2月 7日

【書評&時事コラム】天下り教授の資質

 文部科学省の退職者が早稲田大学へ天下りしていた事件は、組織犯罪にも等しいやり方が社会の糾弾を受けている。かつて事務次官が収賄容疑で逮捕されたような、コンプラインスの欠如した役所だ。それほど驚くべきことでもない。天下りを禁止した国家公務員法に違反したわけだから、捜査機関が強制捜査に踏み切ればいいのに、と思う。

c170207.jpg それでもなお、あえて言えば、天下りは必ずしも悪いことではない。それは、大学に天下った教授が学問的な業績を上げる、あるいは学生の資質向上に貢献するなら、手続き的に多少の問題はあってもいいではないではないかと思うからだ。ところが、これについても、疑問を感じる経験をした。

 以前、産業政策について知識を深めようと、都内の私立大学院の社会人講座に通ったことがある。そこで財務省と経済産業省のOB教授の授業をうけたのだが、これがまったくの期待外れ。さすがに、自分が手掛けた政策には詳しいが、少し分野を広げるともうダメ。しかも、「それは私の担当マターではなかったので」と平気でおっしゃる。天下ってなお、縦割り意識が抜けていなかった!そんな教授ばかりではないとは思っていますけどね。

 大学側にも問題が多い。政策の専門家なら役人OBが適任だと本気で思っているなら、考え直した方がいい。今回、露見した文科省OBの受け入れなど、私学補助目当てがミエミエだ。「私学の雄」はどこに行ったのか。天下った先生は問題発覚と同時に、逃げるように辞めたそうだ。「教育者」の自覚はどこに行ったのか。早大生の皆さん、ああいう社会人にならないよう、反面教師にしてはいかがだろうか。 (俊)

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