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2017年3月14日

【書評&時事コラム】『未来がみえた!』

地域活性化のヒント満載

c170314.jpg著者・筒井義信とチームみらい
プレジデント社、定価1200円+税

 

 深刻な人口減に見舞われている日本の多くの地方都市。2014年に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」は全国自治体の半数に及ぶとして、危機感をさらにあおった。本当に「消滅」してしまうのだろうか。当事者の地方行政や住民は手をこまねいているだけなのか。

 本書は、そんな疑問から生まれた。シンクタンクのニッセイ基礎研究所のメンバー10人が地方に飛び、ユニークな取り組みで活性化に成功している17の市町村を紹介している。

 取り組みはさまざま。森林再生、郷土芸能、芸術祭、学会誘致、地域通貨など、どのようにしてアイデアが浮かび、どう発展させてきたか、今後の課題はなにか……。地域の中心人物に綿密に取材し、写真も交えたリポートにまとめた。文章はどれもわかりやすく、消滅の危機に「待った」を掛けようと奮戦する人々の姿を生き生きと描き出している。できれば、各地域の地図が欲しかったが。

 17の好事例から浮かび上がってくるのは、町起こしや活性化のカギになるのは、資金よりもむしろ人材という点だ。官民を問わず、けん引力となるキーパーソンがいれば、人が人を呼び、企画が企画を呼ぶ好循環が生まれる。過疎化に歯止めを掛けようと悪戦苦闘している他の自治体にとっても、大きなヒントになりそうだ。 (間)

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