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2019年3月28日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」13・産業医の役割強化

Q 2019年4月から実施される、産業医の役割強化に対応するために企業は何をすればよいのでしょうか。

 企業から産業医への情報提供と産業医の勧告の実効性確保のための措置を講じなければなりません。

①情報提供
 ・事後措置に関する情報提供

健康診断後の措置 医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく以下の情報を産業医に提供
・すでに講じた措置の内容
・これから講じる措置の内容
・措置を講じない場合その理由
長時間労働者に対する面接指導後の措置
ストレスチェック結果に基づく面接指導後の措置

  ・1カ月80時間超時間外・休日労働を行った者に関する情報提供
  時間外・休日労働が1カ月当たり80時間を超えた労働者の氏名、時間外・休日労働時間数に関する情報を当該超えた時間の算定を行った後、概ね2週間以内に産業医に提供しなければなりません。なお、対象者がいない場合でも「該当者なし」と報告しなければなりません。

 ・産業医の求めに応じて情報提供
  労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものを産業医から提供を求められた後、概ね2週間以内に提供しなければなりません。

②勧告の実効性確保
nakamiya03.png 産業医は、あらかじめ事業者の意見を求めた上で、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。
 事業者は当該勧告を尊重し、勧告の内容及び勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合はその旨、その理由)を記録し、3年間保存しなければなりません。
 産業医の勧告が実効的になされるようにするため、以下の措置を講じてください。

・事業者は、産業医が必要な情報を労働者から直接収集する権限を付与すること。
・事業者は当該勧告を尊重し、勧告の内容及び勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合はその旨、その理由)を記録し、3年間保存すること。
・勧告について衛生委員会に報告すること。
・産業医が辞任または解任されたときは、その理由を衛生委員会に報告すること。

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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