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2015年8月24日

47都道府県の最低賃金、今週にも出そろう

「目安」は過去最大幅の18円アップ

is150824_04.png 2015年度の最低賃金が今週にも決まる。厚生労働省の中央最低賃金審議会の「目安に関する小委員会」が7月30日に答申した「平均18円(加重平均)」の上げ幅を目安に、都道府県ごとに決める金額が出そろうため。答申通りに決まれば、最低賃金は12年度から4年連続の2ケタ上昇となり=グラフ、パート、アルバイトなどの非正規労働者には追い風となる半面、中小・零細企業には人件費アップの経営圧迫要因となり、それが経済全般にどう影響を与えるか注視が必要だ。(報道局)

伸び率は2.31%、現行の780円から798円へ

 最低賃金は、毎年、目安小委員会で労使が交渉して、賃金水準の高い順からA~Dの4段階の「目安」を決め、それに基づいて各都道府県の審議会で決定、10月から施行される。今年はAランク(東京など5都府県)が19円、Bランク(埼玉など11府県)が18円、Cランク(北海道など14道県)とDランク(青森など17県)が16円のアップを目安として示した=表。全都道府県を加重平均すると上げ幅は過去最高の18円、伸び率は2.31%で、現行の780円から798円となる。

is150824_03.png 最低賃金は都道府県ごとの物価、賃金などの水準に基づいて決まり、14年度の場合、最高は東京都の888円、最低は沖縄県などの677円とかなりの開きがある。今回、目安通りに引き上げられれば、Aランクの東京と神奈川では初の900円台に乗る計算だ。

 労組のある大企業などでは昨年、今年と大幅な賃上げが続いているが、労組のない中小・零細企業の場合は労使交渉の場もなく、働く側にとって賃上げの環境ははるかに厳しいことから、政府による最低賃金政策が実質的な賃上げ機能を果たしている。近年、非正規労働者の増加に伴い、正規労働者との賃金格差が拡大して「ワーキングプア」といった言葉が使われ出し、生活保護水準より低いケースが生じるなど、「最低賃金のあり方」に対する批判が高まっていた。

 加えて、今年はアベノミクスの成果が中小・零細企業の労働者にも及ぶよう、政府・自民党から大幅な引き上げを求める力が目安小委員会にも働いた跡がみられる。最低賃金の2ケタ増が4年も続くことに対して、経営者側の拒否反応は激しく、目安小委員会の実質最終日となった7月28~29日は“徹夜委員会”となり、最後は公益委員が目安を提示するお決まりの展開となったが、春闘における「政労使会議」と同様に、政府が賃上げの主導権を握ることに対する懸念も強い。

 ただ、景気拡大の長期化に伴う人手不足の深刻化は収まらず、非正規労働者の全体的な賃金水準は、すでに最低賃金を上回る勢いで伸びている。ディップが毎月発表しているアルバイト時給データによると、今年になってから平均時給は980円台をほぼ続けており、職種によっては「医療・介護・福祉」などで1000円を超えている。アイデムが毎月発表しているパートタイマー時給をみても、賃金水準の高い東日本エリアでは平均980円前後で推移しており、外食や小売りなどの企業を中心に採用難が慢性化、都市部を中心にした非正規労働者にとって「時給1000円時代」は目前に来ていると言えそうな状況だ。

違反企業の比率は減少せず

 厚労省によると、労働基準監督署が指導した最低賃金法違反の事業所は、毎年、対象事業所の10%前後の約1500カ所、対象労働者は約5000人余りとなっており、ここ10年では減少傾向はみられない。小売業や飲食業に違反が多く、長年続いたデフレに対応する低賃金志向に歯止めが掛かっているとは言えない。

 このところの急激な最低賃金の上昇に見合う業績を挙げられない企業も増える可能性があり、その場合、最賃法違反や外国人労働者の不法就労などを助長する懸念も捨て切れない。政府と業界団体が一体となって中小・零細の生産性の向上に努めなければならない局面が増えると見られる。

 

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