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2019年5月13日

マイナス続く毎勤統計

賃金上昇の流れ、息切れ?

 今年に入ってサラリーマンの賃金の低下傾向が続いている。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、月々の現金給与総額が1月から3月まで連続して前年を下回り、2014年から長く続いてきた増加傾向に“異変”が起きている。3月は速報値段階で、確定値では変更もあり得るものの、デフレ回復の必須要件として安倍政権が掲げてきた「賃金増加」に陰りが見え始めた可能性が高い。(報道局)

 同調査によると、現金給与総額の対前年同月比は昨年までのプラスから、今年に入って一転してマイナスに。1月は0.6%減、2月は0.7%減、3月は1.9%減(速報値)と3カ月連続のマイナスで、減少幅も拡大している。給与総額はリーマン・ショックによる不況が長引いた影響で、12、13年当時はマイナスが毎月続き、アベノミクス効果が出始めた14年から徐々に回復。同年10、11月の2カ月連続マイナス以降、単月でのマイナスはあったが、連続のマイナスはなかった。3カ月連続は、13年7~10月の4カ月連続以来のマイナス期間となる。

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賃上げ効果現れるか

 1~3月の減少の主要因は、残業など「所定外給与」の減少と、ボーナスなど不定期の「特別に支払われた給与」の減少。残業の減少は、6年間継続している「総実労働時間」の減少によって裏付けられ、それがサラリーマンの手取り減につながっているとみられるが、それでも昨年までは残業代の減少を給与の増加が上回っていた。

 同調査は昨年末に厚労省の不正操作が発覚し、同省は今年1月、過去にさかのぼって12年分からの再集計値を公表した。その結果、18年は全月で前年比が0.1~0.7ポイントの幅で下方修正されたが、それでも0.2~2.8%の伸び率が毎月続き、マイナスの月はなかった。

 ただ、今年に入り、4月に残業規制を主軸にした働き方改革関連法が施行され、多くの企業がそれを先取りする形で残業削減を実施する一方で、春闘の賃上げが4月以降にならないと賃金に反映されないことなどから、1~3月は一時的にマイナスになった可能性も捨てきれない。

 連合が5月8日時点でまとめた春闘回答状況では、3715労組の平均賃上げ額(加重平均)は6217円(前年同期比2.10%増)で、前年同期を156円上回っていることなどから、「賃上げの流れは力強く維持されている」と総括している。しかし、残業減に伴う手取り収入の目減りを補える水準とは言えない。企業にとっては…

 

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