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2016年4月16日

アドバンスニュース「報道局だより」3・「一部報道」って?

 新聞やテレビのニュース番組で、「一部報道で指摘のあった…」や「〇〇とされる一部報道を受けて〇〇氏は」といった“言い回し”。多くの人がこれまでに見たり、聞いたりした経験があるだろう。他の媒体に先を越された記事をきっかけに、次の展開へ急ピッチで進んでいく動きを「同時進行」で報じなければならない場合に用いるメディア業界の定番フレーズだ。

 もっと平たく言えば、「他媒体に出し抜かれてしまい『ごめんなさい』のニュースなのですが…この件で…」ということ。具体的な例を新聞という媒体に当てはめて説明すると、他紙が朝刊で政府の閣僚や与党重鎮クラスの不透明な金銭問題などを詳らかに報じたとしよう。それも無視できないレベルの事案だとなると、夕刊か翌朝の自社媒体で追いかけて「スタートラインをそろえたい」ところ。

tayori.png ところが、その日の午前中に早くも他紙で指摘を受けた当事者が会見を開いたり、国会で追及されたりすると、自社媒体ではそのことに対する第一報がないために「一部報道による」のフレーズを使わざるを得なくなる。どうも、この表現に代わる適切な“ごまかしフレーズ”が業界では見つからない模様で、もう何十年以上も前から代わることなく重宝されている。

 全国区のニュースだけでなく、各都道府県の地方紙を含めると、毎日のように大なり小なりこうした「抜いた、抜かれた」の出来事が起きている。国民の「知る権利」に応えるメディアによるシビアな切磋琢磨なので、新聞記者には胃の痛い話だが、読者には悪い“仕組み”で無いかもしれない。

 ただ、20年ほど前あたりは、閣僚クラスを辞任に追い込む「特ダネ」は概ね新聞社の真骨頂だったが、最近はめっきり週刊誌にお株を奪われてしまい、「一部週刊誌で指摘のあった…」が際立っている。まあ、抜かれたことを認めないで「一部〇〇によると」と前置きせずに報じる厚顔無恥な媒体も時折あるので、読者と視聴者はご注意を。


 

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