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2016年9月 3日

アドバンスニュース「報道局だより」23・会見におけるメモの取り方

 記者の業務は、それぞれにキャッチした問題や課題を調査報道として取材を重ねていく仕事(手法)と、残り半分は政治や企業などの為政者や責任者らによる定例または緊急会見への対応といった仕事の概ねふたつに大別される。このうち、後者の会見の記者の様子がこの20年ほどで一変している。個人的には、あまり好意的でない意味で。 

tayori.png 振り返ると、1990年代の前半までは、原稿や会見のメモは当然ながら手帳や紙のノートへの手書きだった。中には、速記ができる“達人”もいた。95年ごろにはほとんどの媒体に「ワープロ」が導入され、それはそれで画期的だったが、あくまで原稿を会社で執筆する際に使用するもので、会見場に持ち込む存在ではなかった。

 その時代は長くなく、5年足らずで「パソコン」時代に突入する。送信や社内固有のパスワードを活用することで、過去記事や有効な通信手段の役割も担う格好となった。すると、「ワープロ」とは異なり、持ち歩きで社外に、つまりは会見場に登場することになっていったのだ。会見は記者がいろいろな質問をして、会見主はあらゆる言葉を駆使しながら答える。長い時間の中から、プロの記者ならではの感覚で全体の要旨とポイントをピックアップする。その鍛錬の連続が本質だと思っていたのだが、最近は会見での発言をすべてその場でパソコンに一字一句打ち込もうとする記者の姿が主流になっている。

 会見場では、為政者が話し始めると同時に、各社記者は一斉にパソコンのキーボードをたたき出す。10年ほど前は、異常に強くキーボードをたたく記者もいて、うるさくて顰蹙(ひんしゅく)者もいたが、さすがに今は軽いタッチ。しかし、会見場の記者のほぼ全員がそれをやるものだから、肝心の会見主の声が聞こえにくくて「イラッ」とすることも少なくない。

 筆者は古い部類の記者なのかもしれないが、会見主の表情と言葉の強弱に注視しながら、ここぞというポイントを手帳にメモを取るのが筋だと思う。いまは、ICレコーダーで全編録音しているにもかかわらず、さらに発言全文を平板に打ち込むのが「プロの記者のお仕事」のように映ることも。まあ、会見中に携帯を鳴らしたり、自社のデスクとその場で通話したりする論外の記者よりはましかなあと、最近は“パタパタ音”にはあきらめの気持ちもある。

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