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2016年11月12日

アドバンスニュース「報道局だより」33・式典取材の難しさ

 「式典もの」と呼ばれる取材がある。皇室が訪れる植樹祭や各自治体の市制施行など節目の記念式典や、成人式、慰霊の追悼式など、その範囲は広く、規模もさまざまだ。式次第に沿って執り行われるため、一部の成人式を除いてはハプニングがない。あらゆる分野やジャンルの取材に比べ、事前の勉強や取材と撮影、執筆は容易な方だと言えるだろう。

tayori.png しかし、一口に式典とは言っても、毎年同様の内容で行われる定番の式典が意外に悩ましい。風物詩となっている、欠かせない式典行事だ。小中学校や警察学校など4月の入学・入校式と、3月の卒業式。看護学校の卒業にあたる戴帽(たいぼう)式も写真の掲載と合わせて読者や視聴者に期待されていることが多い。

 取材する記者は、できる限り例年とは異なる描写や話題を盛り込みたいのでアンテナを張り巡らすが、実際に代わり映えしない。あるいは、自分なりに感じた視点を記述したくても、そもそも枠(紙面のスペースや放送時間)が限られていて書き込めないというケースもある。

 毎年変化がないだけに、文章だけでなく、写真撮影も難しい。毎年行われる警察学校の卒校式の取材で、かつて筆者は奇をてらって証書を手渡す学校長と受け取る卒校生代表を真横から写真撮影したことがある。変化を加えたいとの一心だった。貴社してデスクに「どっちが主人公なのか、当たり前に考えろ。撮り直しはきかないのだぞ」と大目玉をくらったことも。

 肝心なのは、式典取材に臨む姿勢なのだと認識するようになった。平板な式典であればなおさら、表彰を受ける人や卒業する人たちの顔ぶれは毎年のように異なるという基本に、どれだけ記者が気持ちを込められるかだ。取材される側にとっては、生涯一度きりの大切な日なのだから。挨拶や返礼で登壇する人たちの名前と肩書きをしっかり確認して間違わないことに気を抜かず、今日のこの日の主人公は誰なのかを押さえる。思い出だけでなく、毎年の被写体の髪型や表情は、時代や文化の変遷を垣間見ることのできる貴重な資料にもなり得るだろう。
 

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