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2016年12月 3日

アドバンスニュース「報道局だより」36・前例のない出来事の取材

 政治や経済、事件などの分野・領域を問わず、取材の「方式と書き方」には一定の目安があるものだ。例えば、選挙の記事では当選者が誰か、注目される激戦区なのか否かなど、どんなケースでも報道媒体として“経験則”があるし、事件の記事においても、特異性や影響力に差はあれど、一定の執筆スタイルは大半の記者が身に付けている。

tayori.png それでも、担当分野で特筆すべき事案が連続したり、ある期間内に集中したりすると、大概の記者は愚痴りながらも懸命に取材をこなし、コンパクトで分かりやすい執筆に務める。こうした日々を積み重ねて、記者としての基本を叩き込み、視点と動きに磨きをかける努力を怠らない。

 ところが、多忙を愚痴るどころか、青ざめてしまう事態に遭遇することが記者生活の中では幾度かある。それは、「前例のない出来事」が発生した時だ。自社媒体の過去記事を検索しても例がない、取材手法のマニュアルも、媒体または自身にも取材ルートが見当たらない事象だ。

 つまり、前代未聞という訳だが、担当記者に「書けません。分かりません」などと泣き言を言っている暇はない。血相を変えて、事態の背景や現状、今後予測される出来事などに尽くせる限りの力を注ぐ。最近では、隣国の大統領が不測の事態に陥っている例や、戦後71年の年の瀬にどのような帰着が待ち受けているのかが注目される北方四島問題などが、前例のない類と言えよう。

 もちろん、大きな外交テーマだけでなく、各都道府県や市町村単位で見ても、自然現象を含めた「前代未聞」は起きる。ただ、こうした事案にぶつかるかどうかは、記者自身で決められることではない。担当が変わるたびに、耳目を集める不測の出来事に直面する記者もいれば、逆になかなか遭遇しない記者もいる。神のみぞ知る世界なのだろうが、ただひとつ言えることは、前代未聞に眦(まなじり)を決して立ち向かった分だけ、記者は一回りも二回りも成長するということだ。

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