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2016年12月10日

アドバンスニュース「報道局だより」37・通信社の記事と自社記事

 国内屈指の大手を除き、大半の報道媒体は通信社と記事配信を受ける契約をしている。新聞社には社名の入った新聞(紙)があるのに対し、通信社は独自の日刊の紙媒体を持たない。内政、社会、外信、スポーツ、文化など、自前の取材力でカバーしきれない分野をそれぞれの媒体が選択して契約し、自社の紙面に活用するのが一般的だ。契約額は決して安くないが、地方紙が日本の津々浦々、世界の主要各国に支局を置くことには限界があるため、自ずと通信社との関係が生まれる。

tayori.png 自社の記者と通信社の記者。新聞社勤務時代の経験則から言って、あちらこちらの取材現場で重なり合うことはなかった。通信社は全国に配信するに足るニュース価値、または話題性の高い出来事を取材し、地方紙はそのエリアにおいて密着した細かな出来事も含めて取材し、執筆する。役割が異なると言えるかもしれない。

 ただし、地方紙のエリアで分野を問わず全国区のニュースが発生した時、地方紙の報道局デスクは葛藤することがある。デスクには、通信社原稿と自社の記者による原稿の両方が届く。この場合、自社原稿が優先されるのが本筋ではあるものの、深夜帯で印刷開始時間が迫っている時などは、コンパクトでエキスのみを迅速に配信してくる通信社原稿と、周辺の動きや視点も交えて遅れて届く自社原稿を待つかで悩む。

 出稿する側とデスク側の両方を体感している筆者としては、「俺の原稿を待てないのか」という現場記者の思いと、万が一、待った自社原稿が遅れて「印刷開始がズレる事態は避けたい」とするデスク側の気持ちも痛いほど分かる。見出しを付けて紙面を構成する整理部からの「早く原稿を」というプレッシャーに挟まれながら判断を迫られる。胃がキリキリする場面だ。

 こうなると、最後はデスクと現場記者との日ごろの信頼関係が大きなポイントになる。普段から時間を守る記者なのか、執筆スピードに長(た)けているのか、といった部分と併せ、まずは出来る限り信じて待つ。過度に安全を優先して、早めに通信社原稿の採用を決める判断が続くと、現場記者の筆力も伸びず、翌朝の紙面に勢いもなくなってくる。そして、気が付くと通信社の原稿ばかりで紙面が埋まり、個性のない地元紙に陥る心配もある。

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