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2023年3月 7日

【ブック&コラム】『ゆるい職場』

仕事・職場が「ゆるくて辞めたい」

c2302_2.jpg著者・古屋 星斗
中央公論新社、定価990円(税込)

 働きやすさや労働者保護に配慮した法制度が整い、労働環境は急速に改善しているのに、若者の離職率が上昇している珍現象に注目する著者は、その原因に「職場のゆるさ」ゆえの「若者の不安」を見つけ、本書に考察を展開している。延べ100名以上へのインタビューを通じ「残業はないし、叱責されたこともない」と語る若者が「仕事がゆるくて辞めたい」ともらす背後に「不安」が共通すると分析する。

 「必要とされる仕事をしている気がしない」「成長に時間が掛かっている」と焦る当人たちは、実は、仕事の負荷が軽く、上司・先輩たちが優しい職場を「嫌いではない」と認識している。ただ、同時に「上司が見守ってくれ、声をかけてくれ、褒めてくれ、話を聞いてくれたところで、自分の市場価値は高まらない」と合理的にも考える。

 こうした現象への対処法では、昔のマネジメントには戻れない現実と「自律した若手ほど辞める」という複雑な構造を受け入れたうえで、社外での活動体験を支援するといったアプローチが有効ではないかと提案している。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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